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バイオインフォマティクス ばいおいんふぉまてぃくすbioinformatics

翻訳|bioinformatics

知恵蔵の解説

バイオインフォマティクス

生物情報科学ともいう。情報科学と生命科学の融合領域で、生物に関係する膨大なデータをコンピューター解析する研究分野。ヒトゲノム解読を中心とするゲノム計画の進展と共に、1990年代に発展してきた。今後のバイオインフォマティクスの目標は、たんぱく質アミノ酸配列や立体構造などの種々の知識とも合わせて、決定された全塩基配列の情報から、遺伝子として機能する部分の予測と決定、個々の遺伝子の機能や遺伝子群の機能のネットワークの解析、細胞分化代謝経路解明、さらには病因遺伝子の探索、新規治療薬の開発等を行うこと、など。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

大辞林 第三版の解説

バイオインフォマティクス【bioinformatics】

生命科学の研究において、とりわけ情報処理技術を応用する研究分野。ヒト-ゲノムの解析など。生物情報学。生命情報工学。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バイオインフォマティクス
bioinformatics

生物情報科学。近年の分子生物学生化学の解析技術の急速な進展に伴い,生物のもつ遺伝子蛋白質の構造,機能,発現やネットワークなどの情報が爆発的に増大し蓄積した。これらの膨大な情報のデータ化と処理についてコンピュータを用いて総合的かつ系統的に比較・解析し,構造や機能の予測・新発見や数学的モデルの構築へと導く,生物学情報科学の新学問体系。研究対象としては,各種生物のゲノム計画(→ゲノム)から得られる大量の塩基配列情報を処理するための相同性検索に基づく遺伝子予測,分類や配列の比較やゲノムの再構成,また蛋白質構造の比較および予測,蛋白質相互作用の予測などがある。マイクロアレイ(→DNAチップ)による遺伝子発現の網羅的な解析技術の進展に伴い,全遺伝子の発現量や階層による分類などの大量のデータの視覚的表現が可能となった。また,転写産物のトランスクリプトーム,蛋白質のプロテオーム,代謝産物のメタボロームなど,生物の組織や細胞レベルの諸活動を総合的にとらえる研究分野も発展した。さらに疫学,創薬,分類学考古学や進化学に関してもゲノム情報の解析が新天地を開拓した。特に疫学においては,人を総合的に理解するために個人の遺伝子情報に加え,疾患,羅患や投与薬剤などの医療情報や,生活環境・生活習慣の情報などの膨大な情報を取り扱い,統合的に処理し,情報の関連性を統計的に解析する大規模なゲノムコーホート研究が展開されている。生物データの解析ソフトウェアや種々のデータベースはインターネット上に公開されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バイオインフォマティクス
ばいおいんふぉまてぃくす
bioinformatics

生命情報科学とも称する科学領域で、情報学や応用数学、コンピュータ科学などを応用して、生物学に取り組む学問領域であり、いまやバイオテクノロジーのなかで重要な位置を占めている領域。日本の科学技術政策の策定に大きな影響力をもつ科学技術会議の専門委員会は、バイオインフォマティクスを技術立国・日本の基盤技術の一つと位置づけており、次のように解説している。「ライフサイエンスと情報科学とが融合する領域の研究。ゲノム情報だけでなく、遺伝子からタンパクの構造や機能までを含めた生物情報を広く活用することを目的とした生物データ全体を取り扱う総合的な科学」。ヒトゲノムをはじめとした各種生物のゲノム解析によって膨大な遺伝子データが得られるようになった。こうした成果を新薬の開発などのライフサイエンス分野、とくに産業領域に活用していくには、従来のライフサイエンス研究領域だけでなく、コンピュータを活用した情報処理分野の参加が必要であるという認識のもとに育まれた領域である。実際に、コンピュータ上で生命現象を解析するためにゲノムやシステムバイオロジーから送り出される大量データ情報の処理や加工、検索がすでに行われている。また、それらに関連した多様なデータベースや遺伝子解析ソフトなどのビジネスが構築されている。さらに、DNAチップや抗体チップなどの各種のアレイ技術や、ゲノム薬理学(薬の作用や効果を示す薬物応答と、DNAやRNAなどのゲノム情報とを関連づけて解析。新薬の開発やテーラーメイド医療の研究に重要)、プロテオーム(生物の細胞や組織などに存在するタンパク質全体をさす)などとも称されるタンパク質関連の研究拡大によって、バイオインフォマティクスの応用は、生物学分野に広く拡大しつつある。[飯野和美]
『マルコム・A・キャンベル他著、松尾洋監訳『ゲノミクス・プロテオミクス・バイオインフォマティクス入門』(2004・オーム社) ▽デービッド・W・マウント著、岡崎康司・坊農秀雅監訳『バイオインフォマティクス――ゲノム配列から機能解析へ』(2005・メディカル・サイエンス・インターナショナル) ▽日本バイオインフォマティクス学会編『バイオインフォマティクス事典』(2006・共立出版) ▽藤博幸編『はじめてのバイオインフォマティクス』(2006・講談社) ▽舘野義男著『バイオインフォマティクス――生命情報学を考える』(2008・裳華房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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