バルフォア宣言(読み)バルフォアセンゲン

デジタル大辞泉 「バルフォア宣言」の意味・読み・例文・類語

バルフォア‐せんげん【バルフォア宣言】

《Balfour Declaration》第一次世界大戦中の1917年に、イギリス外相バルフォアが、ユダヤ系の富豪ロスチャイルド家に送った書簡で示したシオニズムへの支持表明。1915年のフサインマクマホン協定などと矛盾するとされる。→サイクスピコ協定
[補説]フサインマクマホン協定の示すアラブ人国家の領域に、バルフォア宣言ユダヤ人国家の地としたパレスチナは含まれず、これらは矛盾しないという見方もある。

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改訂新版 世界大百科事典 「バルフォア宣言」の意味・わかりやすい解説

バルフォア宣言 (バルフォアせんげん)

第1次大戦中の1917年に,イギリス外相A.J.バルフォアが発表したもの。1916年のサイクス=ピコ協定およびフサイン=マクマホン書簡は,パレスティナに関するかぎり,フランスおよびアラブの発言権を認め,イギリスの意図する単独支配を困難にした。イギリスは,17年,この困難を克服する役割を,イギリスの支配下でパレスティナをユダヤ国家にしようともくろむシオニスト組織に見いだした。イギリスは,シオニスト指導部にフランスを説得させたうえで,11月2日,バルフォア外相から英国シオニスト連盟会長ロスチャイルド卿あての書簡の形で〈パレスティナにユダヤ人の民族的郷土を設立する〉のに賛成した。これがいわゆる〈バルフォア宣言〉である。アラブ側の反発を考慮して,宣言の文言にはユダヤ国家建設をうたわず,〈非ユダヤ人(アラブ人)社会の市民的・宗教的および政治的地位は損なわない〉とのただし書きがつけられた。しかしこの宣言は,事実上イギリスの対アラブ公約を破るものであり,イギリスの帝国主義的意図に便乗したシオニストに,ユダヤ国家建設の糸口を与えるものとなり,パレスティナ問題発端となった。
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百科事典マイペディア 「バルフォア宣言」の意味・わかりやすい解説

バルフォア宣言【バルフォアせんげん】

第1次大戦中の1917年,英国外相バルフォアパレスティナにユダヤ民族国家建設を認めると約束した宣言。トルコに対する作戦基地確保のためユダヤ人の協力を期待して発せられた。しかしこれはアラブ独立を約したフサイン=マクマホン書簡と矛盾し,ユダヤ・アラブの対立をひき起こした。→パレスティナ問題
→関連項目シオニズム第1次世界大戦ワイツマン

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バルフォア宣言」の解説

バルフォア宣言(バルフォアせんげん)
Balfour Declaration

第一次世界大戦中の1917年,イギリスの外相バルフォアオスマン帝国領であったイェルサレム地域にナショナル・ホームの建設を約束したもの。敵国オスマン帝国の弱体化を図り,ユダヤ人の戦争協力に感謝するねらいがあったが,イギリスはすでに15年同地域のアラブ人にもフサイン‐マクマホン書簡で同様な約束をしていた。またフランスとは,16年サイクス‐ピコ協定でその地域の国際管理に同意していたため問題となり,これが今日に至るまでのパレスチナ問題原因となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「バルフォア宣言」の解説

バルフォア宣言
バルフォアせんげん
Balfour Declaration

第一次世界大戦中の1917年11月2日,イギリス外相のバルフォアがユダヤ人の財政的協力を得る必要から発した宣言
パレスチナにユダヤ民族の民族的ホームの建設を認め,その目的達成のために努力することを約束するという書簡を,シオニスト連盟会長におくるという形で行われた。しかし,他方でフサイン−マクマホン協定(1915)によりアラブ民族の独立を承認していたため,アラブ・ユダヤ両民族のパレスチナ獲得をめぐる紛争をひき起こす原因となった。

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世界大百科事典(旧版)内のバルフォア宣言の言及

【ウェストミンスター憲章】より

…自治領諸国は,第1次世界大戦中軍事協力を通して本国に対する地位を向上させ,両者の関係は植民地的従属関係から対等な立場で結合する連邦体制へと発展しつつあった。こうした変容を反映し,帝国会議は1926年に,〈本国と自治領はそれぞれ地位の平等な自治社会であり,王冠に対する共通の忠誠により自由に連合している〉と定義したバルフォア報告を採択し,30年には自治領総督を象徴的存在とする決議を行った。ウェストミンスター憲章は,これらの決定を翌31年イギリス議会が立法化したもので,イギリス連邦の根本を規定した。…

※「バルフォア宣言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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