パイロフィライト(英語表記)pyrophyllite

改訂新版 世界大百科事典 「パイロフィライト」の意味・わかりやすい解説

パイロフィライト
pyrophyllite

含水層状アルミノケイ酸塩(フィロケイ酸塩)鉱物の一種。葉蠟(ようろう)石とも呼ぶ。化学成分はAl2Si4O10OH2単斜晶系の微細葉片状結晶となるが,多くはさらに細かい結晶が集合して塊状となり,粘土鉱物の一種として取り扱われる。へき開{001}に完全,比重2.65~2.90,モース硬度1~2。白~帯褐緑色。比較的低温・低圧熱水作用により生成される場合が多く,日本では蠟石鉱床を形成して産出することが多い。その場合は絹雲母(セリサイト),石英,少量の黄鉄鉱などを伴って生成する場合もある。アルミナ鉱物,石英などの混合量による鉱石のアルミナ含有量の多少により,それぞれ高級耐火物原料,低級耐火物原料として利用されている。またかつては筆記用具の石筆(蠟石)や原鉱石を粉砕し,水簸(すいひ)精製の後,製紙用クレーなどの粉材として利用した。高純度,緻密で色彩の美しいものは蠟石細工,印材としても珍重されている。この場合の着色は微量に含まれる異種鉱物,例えば印材として貴重な鶏血石のように,少量のシンシャ(辰砂)HgSの混在による例などがあげられる。
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化学辞典 第2版 「パイロフィライト」の解説

パイロフィライト
パイロフィライト
pyrophyllite

[Al4(Si8O20)](OH)4葉ろう石ともいう.熱水鉱脈中に長石などの変質物として産出する.単斜晶系.空間群 C 2/c,格子定数 a0 = 0.516,b0 = 0.890,c0 = 1.864 nm.β = 99°55′.単位格子中に2個の基本組成を含む.雲母に似た層状構造.塊状に産出する.へき開{001}完全.硬度1~2.密度2.65~2.90 g cm-3.ろう石の主要構成鉱物で,印材,耐火物に利用される.高圧高温実験での圧力伝搬材としても利用されている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パイロフィライト」の意味・わかりやすい解説

パイロフィライト
pyrophyllite

葉蝋石ともいう。 Al2(Si4O10)(OH)2 。単斜晶系の鉱物。比重 2.65~2.90,硬度1~2。真珠光沢。透明。白色ときに黄色,淡青色,帯灰または帯褐緑色など。劈開{001}に完全。葉片状集合塊として産する。撓曲性はあるが弾性に乏しい。酸性火成岩などが熱水変質作用を受けて生じたいわゆるろう石鉱床の主成分鉱物で,石英,白雲母その他の粘土鉱物などと共生して産し,熱水金属鉱床の脈石鉱物としても産する。窯業原料として利用される。均質なものは超高圧発生用の圧力媒質として使用される。

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百科事典マイペディア 「パイロフィライト」の意味・わかりやすい解説

パイロフィライト

葉蝋石(ようろうせき)

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