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パラメトロン パラメトロンparametron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

パラメトロン
parametron

パラメータ励振によって論理演算または記憶作用をもたせた素子。 1954年,東京大学の後藤英一によって発明された。フェライトのような磁性体にコイルを巻いて電流を通じると磁性体は磁化されるが,電流がある程度大きくなると磁化は飽和する。つまり,コイルの電流と磁化とは比例しないので,コイルのリアクタンスが電流によって変化する (非線形リアクタンス) 。磁性体に2つのコイルを巻き,一方に一定周波数の交流を流してコイルのリアクタンスを変化させる (回路の定数=パラメータを変化させるので,これをパラメータ励振という) 。そして,他方のコイルにはコンデンサをつなぎ,その共振周波数をリアクタンスの変化する周波数の半分に同調させると,その周波数で発振する。発振の位相に2種類あり,どちらが実際に発振するかは,発振初期に同調コイルに存在するわずかな交流電流によって決められ,いったんある位相の発振が起れば,励振を切らないかぎりその位相の発振が持続する。これが記憶作用の原理である。また,励振の初期に外部から小さな信号を入れると,その信号に応じた位相の発振が生じる。つまり,電子管やトランジスタのような増幅作用もあり,1つの素子で多数個の素子の制御が可能なので論理演算素子をつくることができる。半導体集積回路が出現するまでは,素子1個あたりの費用が少なかったので,パラメトロンを用いた電子計算機がつくられたが,演算速度は遅く,現在ではほとんど使われていない。

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百科事典マイペディアの解説

パラメトロン

フェライトの環状磁心にコイルとコンデンサーを組み合わせた共振回路をもつ電気回路素子。パラメーター励振現象(パラメトリック増幅)を利用,インダクタンスを一定周波数で変化させ,2分の1の分周波を発生させる。
→関連項目後藤英一分周

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大辞林 第三版の解説

パラメトロン【parametron】

フェライトを用いた特殊なコイルとコンデンサーで形成され、入力の振動数の半分の振動数をもつ出力を取り出す共振回路。初期のコンピューターに、演算素子・記憶素子として用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パラメトロン
ぱらめとろん
parametron

東京大学の後藤英一により1954年(昭和29)に発明された磁気コアを利用したコンピュータの記憶・論理素子。当時の電子管式計算機では電子管の寿命が短すぎたため、これにかわって登場し、パラメトロン式計算機として利用された。しかし動作が遅いためトランジスタにかえられた。
 パラメトロンはパラメーター励振を用いる。パラメーター励振とは、電気回路定数を外部信号で変化させ、振動系の固有振動を変化させることによりしだいに振幅を増大させる励振法である。これをインダクタンスとコンデンサーの共振回路に適用したのがパラメトロンである。パラメトロンはフェライトの磁心に二組のコイルを巻き、100キロヘルツ程度の励振電流を流すと、二次側では1/2周波数の共振電流が流れるが、この電流の位相が0かπのいずれかになるパラメーター励振現象を利用して記憶や論理演算が行われる。[岩田倫典]

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世界大百科事典内のパラメトロンの言及

【コンピューター産業】より


[日本のコンピューター産業]
 日本でのコンピューター研究は,1952‐53年ころから一部の研究者の間で行われるようになった。54年に後藤英一が真空管より性能のよいパラメトロンを発明し,研究はパラメトロン式とトランジスター式が並行して進められた。前者によるコンピューターに57年開発の武蔵野I号,後者に56年開発のETL・マークIII,57年完成のETL・マークIVがある。…

※「パラメトロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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