リアクタンス(読み)りあくたんす(英語表記)reactance

翻訳|reactance

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リアクタンス」の意味・わかりやすい解説

リアクタンス
りあくたんす
reactance

交流回路における交流(正弦波電流の流れにくさを表す量。エネルギーを消費しない擬似的な抵抗インピーダンスの虚数部で、サセプタンス逆数となる。交流回路において電流の流れを妨げる要素は、抵抗、インダクタンス(誘導係数)、キャパシタンス(静電容量)の三つである。抵抗成分(おもに抵抗器)を流れる電流は、抵抗成分の両端電圧と同位相であるのに対し、インダクター(インダクタンスを生じるもの。おもにコイル)を流れる電流は、インダクターの両端の電圧に対して位相がπ(パイ)ラジアン遅れる。またキャパシター(キャパシタンスを生じるもの。おもにコンデンサー)を流れる電流は、キャパシターの両端の電圧に対して位相がπラジアン進む。この性質は、交流理論で用いられる複素数実数虚数単位で表される数)表示では虚数で表される。

 インダクターによるリアクタンスを誘導性リアクタンス、キャパシターによるリアクタンスを容量性リアクタンスという。交流回路のリアクタンスは、回路中の自己インダクタンス相互インダクタンス、キャパシタンスおよび周波数によってその値が決まる。1ボルトの交流(正弦波)電圧を加えたとき、1アンペアの交流(正弦波)電流が流れるリアクタンスを1オーム(Ω)と定めてある。記号Xで、インピーダンス(記号はZ)と抵抗成分(記号はR)との関係は、ZRjXjは虚数単位)である。

布施 正・吉澤昌純]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リアクタンス」の意味・わかりやすい解説

リアクタンス
reactance

インピーダンスの虚数部。抵抗 R自己インダクタンス L ,電気容量 C直列に接続された回路のインピーダンスは,複素数表示で ZRiX と書かれる。X は ωL-1/ωC で表され,リアクタンスという。ωは 2πf で交流の角振動数である。ωL>1/ωC の場合,リアクタンスは正で誘導性リアクタンスといい,ωL<1/ωC の場合はリアクタンスは負で容量性リアクタンスという。リアクタンスが存在すると回路の電流は,回路全体に加えられた電圧に対して位相が遅れるか,または進む。誘導性のときは電流は電圧に対して遅れ,容量性のときは進む。ωL=1/ωC を満足する場合はリアクタンスはゼロで,回路は直列共振をしているといい,このときの電流は最大で電圧と同じ位相である。共振振動数 fr である。

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