翻訳|palm oil
アブラヤシの果実の果肉(含油率51~67%)から圧搾法によって採取する油脂。植物脂肪に属し,常温で固状でパームバターということもあるが,原産地では液状であるのでパーム油と呼ばれる。カロチンを含み橙黄色に着色し,特徴ある芳香をもつ。アブラヤシの果実の種子(核)から取る油のパーム核油とは性質が異なっている。主産地はマレーシア,インドネシア,西部アフリカ。1970年代から大増産が行われた。融点27~50℃(主として35~40℃),比重d15=0.921~0.948,屈折率nD40=1.4531~1.4590,ケン化価196~210,ヨウ素価43~60,脂肪酸組成はパルミチン酸45~47%,オレイン酸38~42%,リノール酸7~10%,ステアリン酸4~5%,ミリスチン酸1%。用途はほとんどが食用で,マーガリン,ショートニング,食用油,製菓用とされ,ほかに切削油,さび止め油,セッケン原料にも用いられる。また,溶剤分別すると,30℃では硬いが,口中温度では短時間に溶けるという溶融温度幅の狭い固形脂が得られ,カカオバターの代用脂としてチョコレートや洋菓子用とされる。
パーム核油palm kernel oilはラウリン酸47%,オレイン酸18%,ミリスチン酸14%を含み,ケン化価239~257,ヨウ素価12~17で,用途はパーム油とほぼ同じである。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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