精選版 日本国語大辞典 「ひょう」の意味・読み・例文・類語
ひょう
- 〘 感動詞 〙 驚いたりはやし立てたりするときに発する声。
- [初出の実例]「天窓(あたま)へ天窓がゴッキリと当るに飛八仰天し、『ヒャウ。アッたたたたた』」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)四)
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
体に黒斑があり美しく,敏しょうな身のこなしで知られる食肉目ネコ科の哺乳類。アフリカのほぼ全域からアラビア半島,トルコ西部,インド,スリランカ,インドシナ,マレー半島,ジャワ,中国,朝鮮半島,シベリア南東部まで広く分布し,ネコ科中もっとも広い分布域をもつ。体長91~191cm,尾長58~110cm,肩高45~78cm,体重は雄で37~90kg,雌で28~60kg。体の大きさ,体色などに地理的変異が大きく,ふつう26亜種に分けられる。体は筋肉質でがんじょうで胴が長く,四肢は太く比較的短い。体色は淡黄色,灰色をおびた淡黄褐色から暗黄褐色,赤褐色まであり,腹部は白色。全身に暗色の斑点があり,肩,上腕,背,脇腹,しりにかけては斑点が梅花状に並ぶ。全身が黒褐色のクロヒョウもしばしば見られるが,これは黒変型(黒色相)で亜種の違いでもなく,湿度が高く暑い熱帯の密林に多い。
環境への適応力が高く,低地の森林,山地,草原,荒れ地,砂漠などに広く生息し,キリマンジャロの標高5638mの地点からも捕獲されている。おもに夜行性で,日中は木の上,草の茂み,岩の間などで休息する。単独で行動し,視覚と聴覚が鋭く,用心深く,木によく登り,泳ぎも巧みである。1晩に25~75kmも歩き,時速60km以上で走ることができ,幅6m,高さ3mも跳躍する。狩りは主として忍び寄りで,大型の獲物はのどにかみついて息を止めて殺し,小型のものは首を後方からかんで殺す。しばしば獲物を木の上に引き上げて食べる。獲物はガゼル,インパラ,ヌーなどのアンテロープ,シカ,ヤギ,イノシシ,サルがおもで,ウサギ,ネズミ,鳥,昆虫までほとんどのものを食べる。個体によって特定の獲物に執着する傾向が強く,人食いヒョウもそのたぐいといわれる。
交尾期は熱帯では一年中,寒帯では1~2月で,妊娠期間90~105日,1産1~6子,ふつう2~3子である。雌は岩穴や割れ目,樹洞,茂みなどで出産する。寿命は飼育下で23年を超す記録がある。美しい毛皮のために密猟が盛んで個体数は年ごとに減少している。
執筆者:今泉 忠明
西洋ではヒョウをさすことばには英語のパンサーpantherとレパードleopardのように二つある。伝承的にも独自の区別がある。伝承によればパンサーの吐息は芳香を放ち,竜(ドラゴン)以外の動物はすべてこの香りに魅惑されて近寄ってくる。すでにローマ初期に知られていたこの特徴は,キリスト教に取り込まれてさらに意味を強め,悪魔=竜以外の生きものをキリストのほうへ導く伝道者の象徴となった。黒斑はキリストの徳の数を表すともいわれる。また美しい斑紋をもつ毛皮とその芳香から女性にもなぞらえられ,シェークスピアの時代には美しいが気性の激しい女をパンサーにたとえる言いまわしも流行した。近くはF.クノップフなどベルギー象徴派の画家も,〈ファム・ファタル(宿命の女)〉のイメージをこれに託している。さらに,パンサーを〈月の獣〉と呼ぶのは,女とのかかわりから出た連想であろう。ただし大プリニウスは,パンサーの肩にある輪紋が月のように丸くなったり細長くなったり変化すると述べている。
一方,このパンサーと狂暴な雌ライオンとの合いの子とされるレパード(leo+pardの意)はどうもうで野卑な獣で,中世のベスティアリ(動物寓意譚)などをみると,レパードは黒い斑紋が少なく,場合によると,それを欠いた姿で描かれている。本来はおそらく集団で狩りをする雌ライオンをさしたものと思われる。プリニウスの《博物誌》に,たてがみのないライオンはパンサーとの雑種だとある点も,その証左と考えられるかも知れない。レパードは残忍で邪悪な獣とされ,キリスト教の象徴学でも罪やアンチキリストの象徴である。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。アジア東部・中部・南部からアフリカのほぼ全域にかけて広く分布し、寒帯から熱帯の岩石地、草原、低木林、森林に生息し、平地の人家付近からキリマンジャロの海抜5100メートルの地点までみられる。ネコ科動物のうちで、もっとも優れた環境への適応力をもっている。体長95~150センチメートル、尾長60~95センチメートル、体重30~80キログラム、雌は雄よりずっと小さい。体色や体毛の長さは地域によって異なるが、多くは淡黄色から褐色で黒色の斑紋(はんもん)があり、背面の黒斑は梅花状である。24亜種に分けられ、もっとも北に分布し大形で美しいアムールヒョウP. p. orientalis、小形で黒変種の多いジャワヒョウP. p. melas、大形で黄色が強く基亜種のキタアフリカヒョウP. p. pardus、赤色が強く斑紋の小さなケープヒョウP. p. melanoticaなどがある。全身が黒褐色のクロヒョウは黒変種で、別種でも別亜種でもなく、両親が普通の体色のヒョウからも生まれる。クロヒョウは東南アジアなどの深い森林にすむものに多い。
ヒョウは普通、単独で生活し、日中は茂み、木陰、枝の上などで休息していることが多く、夕方から夜に狩りを行う。昼間はめったに狩りをしない。体を地面につけるように低くし、音をたてずに数メートルまで接近してから獲物に飛び付き、頸(くび)かのどをかんで殺す。茂みや木の上で待ち伏せることもある。木登りがうまく、樹上でサルをとらえることができるほどである。アフリカではヒヒ、イボイノシシ、クーズーほどの大きさまでのレイヨウ、ハイラックス、ウサギ、鳥、魚などをとらえ、アジアではシカ、若いスイギュウ、レイヨウ、アイベックス、イノシシ、ラングールなどを食べる。ヤギやヒツジなどの家畜も襲う。獲物を倒すと木の上に引き上げ何日も食べにくるが、91キログラムのキリンの子を引っ張り上げた記録がある。繁殖期は熱帯地方のものでは不定であるが、北方のものは冬で、妊娠期間90~105日ののちに1産2~4子、ときに6子を産む。子は9日ほどで目が開き、5か月もすると歯も生えそろい体の大きさも親に近くなり、普通、次の繁殖期には独立する。3年で性成熟する。寿命は飼育下で23年である。
[今泉忠明]
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…ところでこのアバまでの作業を行うものを川狩人夫といい,筏師(いかだし)とはまた別な仲間を組織していたのである。赤石山脈の遠山谷ではヒョウと呼び,多くのアバにこうした川狩人夫が20人,30人と組をくみ,頭目の下に集団生活を営んで荒々しい独得の雰囲気をもっていたという。各組の上にはさらに庄屋という者がいて,仲間全体を差配した。…
…雌ライオンに似た食肉目ネコ科の哺乳類(イラスト)。mountain lion,cougar,pantherの英名もある。北アメリカのカナダ西部から南アメリカのパタゴニアまで広く分布。…
…【村下 重夫】。。…
…《延喜式》に〈虎皮〉がみえ,《日本書紀》や《万葉集》にもトラのことがみられるが,近世には生きたトラが日本にもたらされた。なお,ヒョウは日本では古くは〈なかつかみ〉と呼ばれ,トラの雌のことであると考えられていた。 トラの図像は中国の四神の一つ(白虎)として,日本でも古代以来知られていたが,文様や絵画作品の遺品にみるかぎり,竜や獅子の図に比して少ないといえよう。…
…【一木 彦三】
【ネコ科】
ネコ科Felidaeはイヌ科とともに肉食によく適応し進化した哺乳類で,野生種は,オーストラリア,ニュージーランド,ニューギニア,セレベス,フィリピンの大部分,日本本土,マダガスカル,西インド諸島,南極および北極圏や大洋中の島々以外の世界中に分布し,学者によって異なるが,現生種は35~41種に分けられる。 生息環境は変化に富み,トラのように熱帯雨林,川沿いの低地にあるヨシの茂みややぶ,温帯の岩の多い混交林,丈の高い草原,寒帯の寒冷な荒れ地にすむものから,スナネコFelis margaritaのように半砂漠地帯にすむもの,ユキヒョウPanthera unciaのように高山の岩場にすむものまである。
[ネコ類の起源]
現生のネコ類(ネコ亜科)は元来森林生の祖先から発している。…
※「ひょう」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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