ビタミンE(読み)ビタミンイー

デジタル大辞泉 「ビタミンE」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐イー【ビタミンE】

脂溶性ビタミンの一。野菜・植物性油脂などに多く含まれ、不飽和脂肪酸過酸化を防ぐ作用をもつ。欠乏では生殖機能の減退や貧血などが知られる。トコフェロール

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精選版 日本国語大辞典 「ビタミンE」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐イー【ビタミンE】

  1. 〘 名詞 〙 脂溶性ビタミンの一つ。植物性の油脂・野菜に多く含まれる淡黄色粘稠性油状物質。この欠乏症は、睾丸の発育不良、不妊、流産、受胎後の発育不良など。トコフェロール。

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化学辞典 第2版 「ビタミンE」の解説

ビタミンE
ビタミンイー
vitamin E

トコフェロールともいう.ネズミ抗不妊因子として発見された.小麦胚芽油,サラダ油などの植物油に存在し,ビタミンA,Dとは異なる脂溶性ビタミンであり,ビタミンEと命名された.天然には,α-,β-トコフェロールのほかに,γ-,δ-,ε-,ζ-,η-トコフェロールの7種類のビタミンEが発見され,合成されている.このうち,α-トコフェロールがもっとも効力が大きい.7種類のビタミンEはいずれもトコール,すなわち2-メチル-2-フィチル-6-ヒドロキシクロマンのメチル誘導体であり,その違いは,ベンゼン核に置換しているメチル基の数と位置が異なるだけである.たとえば,α-トコフェロールは5,7,8-トリメチルに,β-トコフェロールは5,8-ジメチルについたものである.上記はいずれも黄色の透明な粘性の油状物質で,機溶媒油脂に可溶,水に不溶.耐熱性であるが,紫外線,酸化剤などには不安定である.ビタミンEの生理作用としては,おもに,その抗酸化力により細胞の過酸化による損傷を防ぐことであると考えられている.生殖腺に対する作用のみが考えられていたが,消化管から吸収されたビタミンEは,体内の各種の器官や体脂肪に蓄積され,体内で強力な抗酸化力を示し,ビタミンAやカロテンあるいは必須脂肪酸の吸収作用を助け,ミトコンドリアミクロソームなどの生体膜酵素においてもそれらに作用し,あるいは保護し,細胞の機能と代謝に有効な役割を果たしている.この欠乏症としては,ネズミ雌の不妊症,胎児吸収流産,雄では精子産生組織の萎縮,および永久不妊を生じる.ヒトにおいては不明なところがあるが,過酸化物による赤血球の溶血亢進,貧血,筋ジストロフィー,色素沈着,クレアチン尿症などがあげられる.[CAS 59-02-9:α-トコフェロール][CAS 148-03-8:β-トコフェロール]

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食の医学館 「ビタミンE」の解説

びたみんいー【ビタミンE】

ビタミンEの代表的な働きは、高い抗酸化作用です。これによって有害な活性酸素を除去し、細胞膜(さいぼうまく)を保護します。それとともに脂質(ししつ)が酸化されてできる、過酸化脂質の生成も防止します。過酸化脂質は内臓、血管など全身に沈着して、動脈硬化(どうみゃくこうか)、生活習慣病、老化、ぼけなどをまねくとされており、ビタミンEは、これらの防止に効果を発揮するのです。さらに血行をよくしたり、肌のシミや冷え症を防ぐ働きもあります。
 ビタミンEが不足するとシミができたり、皮膚の抵抗力がなくなります。また、妊娠中の女性は流産しやすくなるので注意が必要です。
 可食部100g中に含まれるビタミンEの多い食品として、以下のものがあります。ヒマワリ油38.7mg、アーモンド(乾)30.3mg、抹茶28.1mg、マヨネーズ(全卵型)14.7mg、マグロ油漬け缶詰(フレーク・ホワイト)8.3mg、たらこ7.1mg(いずれもαトコフェロール)。成人1日あたりの目安量は男性6.5mg、女性6.0mgです。

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栄養・生化学辞典 「ビタミンE」の解説

ビタミンE

 C29H50O2(mw430.72).

 抗不妊因子とよばれた.脂溶性ビタミンの一つ.抗酸化性を示す.活性物質は大別して図のようなトコフェロール群と,トコトリエノール群に分けられる.動物では欠乏させると,生殖障害(胎児吸収,無精子症など),肝壊死,赤血球溶血,貧血,脳軟化症(鳥類),腎変性,筋ジストロフィー(鳥類)などの症状がでる.ヒト血漿のα-トコフェロールの正常値は0.80mg/dl以上とされる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビタミンE」の意味・わかりやすい解説

ビタミンE
ビタミンイー
vitamin E

トコフェロールともいう。米,小麦の胚芽油などに含まれ,淡黄色油状,脂溶性。α,β,γ,δ の4種のトコフェロールが分離されている。成人の1日必要量は 30mgである。ビタミンEが欠乏すると,未熟児では貧血を起す。またビタミンE剤には,筋肉の萎縮防止作用,末梢血管拡張作用があり,習慣性流産のほか,筋萎縮症や末梢血行障害などに使用される。最近では,宇宙飛行,未熟児の保育器,手術台などで高い酸素分圧下におかれることが多いが,こうした場合の高圧酸素障害の予防に効果があることも知られている。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「ビタミンE」の解説

ビタミンイー【ビタミンE】

脂溶性ビタミンのひとつ。強力な抗酸化作用をもつビタミン。種実類、油脂類、魚介類、野菜類などに多く含まれる。過酸化脂質の生成や細胞の老化を防ぐ役割をもつほか、血液中にあるコレステロールの酸化防止、抗がん作用、末梢血管を広げて血行促進、自律神経の調整、高血圧・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの生活習慣病の予防などに効果が期待できる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビタミンE」の意味・わかりやすい解説

ビタミンE
びたみんいー

ビタミン

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世界大百科事典(旧版)内のビタミンEの言及

【ビタミン】より

…これによって,腎石灰化症や腎組織の壊死,腎不全や高血圧症などが発症する。
[ビタミンE]
 抗不妊因子として発見された脂溶性ビタミンで,天然にはα‐,β‐,γ‐ならびにδ‐トコフェロールtocopherolと,α‐,β‐,γ‐ならびにδ‐トコトリエノールtocotrienolの8種類が知られる。α‐トコフェロールは自然界に最も広く分布し,ビタミンEとして普遍的な生物活性を示している。…

※「ビタミンE」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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