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ビタミンKと代謝異常 びたみんけーとたいしゃいじょう

家庭医学館の解説

びたみんけーとたいしゃいじょう【ビタミンKと代謝異常】

 ビタミンKは、脂肪に溶ける脂溶性(しようせい)ビタミンで、おもな作用は、血液を固めて止血させること、そして骨の代謝に関係することです。
 発酵食品(はっこうしょくひん)の摂取や腸内細菌(ちょうないさいきん)のはたらきによって、作用の異なるさまざまなビタミンK同族体(どうぞくたい)がつくられています。
 ビタミンK欠乏症(けつぼうしょう)では、血液が固まる時間が遅れたり、わずかな傷から出血などがおこります。かつて、乳児のビタミンK欠乏性出血症(けつぼうせいしゅっけつしょう)による突然死(とつぜんし)がおこって問題になったことがあります。そのほか、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(「骨粗鬆症」)にも深くかかわっています。
 ビタミンKは、からだの脂肪に蓄積されますが、過剰症は知られていません。しかし、血液を凝固させるビタミンですから、血栓症(けっせんしょう)や梗塞症(こうそくしょう)など、血液の凝固が問題となる病気の患者さんでは、当然、摂取過剰は禁物です。
●原因
 新生児のK欠乏性出血症の原因の第1は、Kは胎盤(たいばん)を通りにくく、胎児期(たいじき)に母体から受ける量が少ないこと、第2は、新生児の腸内には腸内細菌が少ないため、細菌によるビタミンK類の合成が少ないこと、第3は、個人差もありますが、母乳中にビタミンKが少なく、乳児の吸収力も低いこと、第4は、肝臓のKを利用する力の不足です。この力は正常な新生児でも低く、血液の凝固因子(ぎょうこいんし)のうちKに依存するものは、おとなの約半分の濃度と考えられています。
 おとながビタミンK欠乏症をおこす原因には、一部の抗生物質の使用があります。抗生物質は、腸内の細菌を死滅させて、K依存性血液凝固因子ができにくくなり、血小板(けっしょうばん)の減少や機能低下をまねきます。
●検査と診断
 ビタミンKの欠乏によって、血液の凝固にかかわる第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子が減少します。ヘパプラスチンテストやトロンボテストなどの凝固能力をみるテストをすると、凝固までの時間がのびるのがわかります。
 ヘパプラスチンテストかトロンボテストのうちの1つの結果と、血中のPIVKA‐Ⅱというものの値が異常になるので、この値とを組み合せて、診断をつけるとよいとされています。
●治療
 ビタミンKには、同族体があり、副作用の点から、K1とK2が医薬品として使うことが許され、止血のために使われています。最近、K2は骨粗鬆症治療薬としても許可されました。
 健康なおとなが、ふつうの食生活をしているかぎり、ビタミンKが欠乏することはないとされていますが、血栓症や梗塞症などの患者さんは、ビタミンKを多く含む食品(納豆(なっとう)や緑黄色野菜)を摂取することは、血液の凝固を促進して、病気を悪化させるおそれがあるので避けなければなりません。
 とくに、Kのはたらきを抑えるワルファリンカリウム剤が使用されている場合は医師に相談する必要があります。
●予防
 出生直後の新生児がビタミンK欠乏症になるのを防ぐためには、シロップ剤が服用されます。
 また、手術後の感染を予防するために抗生物質が長期にわたって使用されている患者さんは、ビタミンK欠乏症になりやすいため、専門家の指導を受ける必要があります。
 乳児におこる血液が固まらない病気(特発性(とくはつせい)K欠乏性低(けつぼうせいてい)プロトロンビン血症(けっしょう))は、納豆の摂取量の少ない西日本では、東日本に比べて、約3倍も多いとされています。妊婦はKの多い食品も摂取するよう心がけましょう。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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