ビタミンK(読み)ビタミンケー

デジタル大辞泉 「ビタミンK」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐ケー【ビタミンK】

《〈ドイツ〉Koagulierung(凝固)から》脂溶性ビタミンの一。植物界に広く存在するK1、動物で腸内細菌により合成されるK2などがある。血液凝固機能を促進する作用をもち、欠乏すると出血傾向をきたす。

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精選版 日本国語大辞典 「ビタミンK」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐ケー【ビタミンK】

  1. 〘 名詞 〙 脂溶性ビタミンの一つ。血液凝固を促進する因子。抗出血性ビタミン。K1~K4が知られる。血中プロトロンビン値を正常に保ち、血液の凝固作用を促進する。ホウレンソウなどの緑黄色野菜・肝油・レバーに多く含まれる。この欠乏症は、血中プロトロンビンの減少、血液凝固時間の延長。

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化学辞典 第2版 「ビタミンK」の解説

ビタミンK
ビタミンケー
vitamin K

フィロキノンともいう.血液凝固を促進する脂溶性ビタミン.血液凝固に必要な因子のⅡ因子(プロスロンビン)やⅦ因子,Ⅸ因子,Ⅹ因子の生合成に関係する.凝固(Koagulation,独語)のKをとって命名された.1939年,E.A. Doisy(ドイジー)らは,アルファルファ(牧草)と腐敗魚粉から2種類のビタミンK物質を分離して,ビタミン K1,K2 と命名した.これらの物質がキノン構造を有することを推定して,数多くのキノノイドについて検討し,2-メチル-1,4-ナフトキノンが有効であることを明らかにした.これが現在ビタミン K3 とよばれているものである.いずれも水に不溶,有機溶媒に可溶.光,アルカリなどによって容易に分解される.空気,湿気に対しては比較的安定である.なお,出血剤ジクマロールはビタミンKのアンチビタミンである.】ビタミン K1:フィロキノン,フィトナジオン,2-メチル-3-フィチル-1,4-ナフトキノンともいう.C31H46O2(450.17).鮮黄色の油.融点-20 ℃.紫外線照射により変性する紫外線.照射により殺菌された牛肉でネズミを飼育すると,ビタミンK欠乏症を示した.[CAS 84-80-0]【】ビタミン K2:メナキノン,2-メチル-3-マルチプレニル-1,4-ナフトキノンともいう.構造式のn = 2~10で,天然には6,7,8が多い.腐敗魚粉から単離されたビタミン K2n = 7のメナキノン-7で,C46H64O2(649.02).融点54 ℃.メナキノン-6はC41H56O(580.89).融点53.5~54.5 ℃.これはまたファルノキノン(2-メチル-3-ジファルネシル-1,4-ナフトキノン)ともよばれる.いずれも淡黄色の結晶.生物活性は,メナキノン-4~7ではビタミン K1 の約1.2倍.ほかはビタミン K1 より低い.[CAS 84-81-1]【】ビタミン K3:C11H8O2(172.18).メナジオン(menadion)ともいう.天然には存在しない合成ビタミン.2-メチルナフタレンクロム酸酸化により合成される.黄色の結晶.かすかな刺激臭をもち,粘膜,呼吸器,皮膚などを刺激する.融点105~107 ℃.毒性の面で医薬としての利用は禁止されているが,配合飼料や動物医薬用として相当量合成されている.[CAS 58-27-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

食の医学館 「ビタミンK」の解説

びたみんけー【ビタミンK】

骨にカルシウムが沈着するのを助けたり、血液の凝固因子(ぎょうこいんし)を合成するのに必要な栄養素で、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療薬としても認可されています。
 ビタミンKが不足すると、骨に十分なカルシウムが取り込めなくなって、もろくなるのをはじめ、鼻血(はなぢ)大腸炎(だいちょうえん)、乳児の脳内出血(のうないしゅっけつ)が起こりやすくなるなどのトラブルが生じます。
 ビタミンKは1日に1.0~1.5mgが腸内の微生物によって合成されるため、あまり欠乏症の心配はありません。
 抗生物質を長期服用している人は、腸内細菌の働きが弱って、体内での生成量が不足するケースがあります。逆に血液の抗凝固剤を服用中の人は、ビタミンKの摂取を制限されるので注意してください。
 ビタミンKは納豆やシュンギク、クレソンなどに多く含まれており、成人1日の目安量は男女とも150μgです。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「ビタミンK」の解説

ビタミンケー【ビタミンK】

脂溶性ビタミンのひとつ。傷や内出血などで血を固める血液凝固作用に不可欠なビタミン。葉野菜など緑の濃い野菜類、海藻類、豆製品などに多く含まれる。体内で乳酸菌を作り、骨からカルシウムが排出されるのを防ぎ、骨を丈夫に保つ働きをもつほか、グルタミン酸の代謝向上、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防、生理痛の緩和、体のpH(ペーハー)バランスの調整などに作用があるとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビタミンK」の意味・わかりやすい解説

ビタミンK
ビタミンケー
vitamin K

天然に存在するビタミンKには,植物に存在する K1 と,細菌に存在する K2 とがある。ビタミンKの働きとして最もよく知られているものは,肝臓でのプロトロンビン合成を触媒することである。したがって,食餌中の不足,吸収障害,肝機能不全などによってビタミンKが欠乏すると,血液中のプロトロンビンが減少して,血液凝固が阻害され,出血傾向が現れる。新生児メレナもビタミンK欠乏によって起る。

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栄養・生化学辞典 「ビタミンK」の解説

ビタミンK

 脂溶性ビタミンの一つ.欠乏すると,血液凝固遅延,骨症などの症状がでる.

 ⇒ビタミンK1(フィロキノン)K2(メナキノン-n)K3(メナジオン)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビタミンK」の意味・わかりやすい解説

ビタミンK
びたみんけー

ビタミン

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世界大百科事典(旧版)内のビタミンKの言及

【止血薬】より

…作用機序のうえからは,血液凝固促進薬,繊維素溶解系阻害薬,血管強化薬などが含まれる。(1)血液凝固を促進する薬物 ビタミンKはナフトキノン誘導体で,天然にはK1(フィトナジオン)とK2が存在し,K3(メナジオン)は合成薬である。これらは,プロトロンビン,VII,IX,X因子など血液凝固に必要な因子の肝臓での合成を促進して止血効果をあらわす。…

【ビタミン】より

…ビタミンDの抗くる病作用は,1α,25‐(OH)2‐D3によって,腸管からのカルシウム吸収が増大し,骨におけるカルシウムの結晶化(化骨)が骨基質において促進するためと考えられている。また,骨のビタミンK依存性カルシウム結合タンパク質(オステオカルシン)の生合成にも,ビタミンDは関与しているといわれている。オステオカルシンはカルシウム代謝と関連して,骨組織の石灰化になんらかの影響を与えるのではないかと考えられている。…

※「ビタミンK」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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