ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビッグバン説」の意味・わかりやすい解説
ビッグバン説
ビッグバンせつ
big-bang theory
ビッグバン説によれば,宇宙は極度に凝縮された原初の状態から急激に膨張し,その結果,密度と温度が大幅に低下したとされる。その直後,おそらく陽子崩壊を伴うプロセスにより,今日観察されるような物質の反物質 (反粒子から成る仮想の物質) に対する優位が確定した。この段階で,各種の素粒子が出現したと考えられる。その数秒後,宇宙の冷却が進んである種の原子核が形成された。それに従えば,一定量の水素,ヘリウム,リチウムが生れたとされる。それから約 100万年後,宇宙の冷却がさらに進んで原子が形成された。やはり宇宙に充満していた放射も,このときから宇宙を自由に飛び回るようになった。こうした初期宇宙の姿は,65年に A.ペンジャスと R.ウィルソンが発見したマイクロ波宇宙背景放射 (3K背景放射ともいう) に,その名残りをとどめている。ビッグバン説は一般物質と宇宙放射の存在を説明するだけでなく,現在の宇宙にはニュートリノが充満していることも予言している。今後,初期宇宙の痕跡がさらに発見されるかもしれない。
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