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宇宙原理 うちゅうげんりcosmological principle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙原理
うちゅうげんり
cosmological principle

宇宙の構造は大きな目で見ればどこも一様で,どの領域をとっても私たちの近傍と同じである,という原理宇宙には星,銀河,銀河団,超銀河団階層構造があるが,宇宙そのものには中心とか端とか区別はなく,どこを取っても同じだという考え。多くの宇宙論はこの宇宙原理を基礎としている。

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知恵蔵の解説

宇宙原理

宇宙にはどこにも特別な場所がなく(一様性)、どの方向にも特別な方向がない(等方性)という要請(原理として認められること)。アインシュタインが1917年、一般相対性理論に基づいて宇宙モデルを作る際、これらの空間の性質に加えて「宇宙は時間的にも変わらない(定常性)」を要請した。定常性まで含めた要請を完全宇宙原理という。その後、観測による29年の宇宙膨張の発見により、定常性の要請は不要となった。現在では空間の一様・等方性は、宇宙マイクロ波背景放射の観測や銀河の3次元的な分布の観測から検証されている。一様・等方な空間は曲率(空間の曲がり具合)の大きさがいたるところ一定で、その符号により3つに分類される。(1)曲率がゼロの空間は平坦な空間、(2)正なら有限で境界のない閉じた空間、(3)負なら無限に広がった開いた空間である。同じ半径の球の体積は、(2)→(1)→(3)の順に増す。これに対応し、それらの空間をもつ宇宙を平坦な宇宙、閉じた宇宙、開いた宇宙という。WMAPの観測から、宇宙は平坦な宇宙であると考えられている。

(二間瀬敏史 東北大学大学院理学研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐げんり〔ウチウ‐〕【宇宙原理】

宇宙空間はいたるところ一様で等方であり、大局的な特徴は宇宙のどこで観測しても同じであるとする原理。宇宙論で仮定される。

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大辞林 第三版の解説

うちゅうげんり【宇宙原理】

宇宙空間は、至るところ一様で等方的であるという原理。宇宙は場所によらず同じ物理法則によって支配されるとする。宇宙論において仮定される基本原理。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙原理
うちゅうげんり

「宇宙は一様で等方である」とする仮定で、宇宙論研究における一つの原理。宇宙が一様であるとは、宇宙のすべての場所で物質密度や温度などの物理量が同じ値であるということである。等方とは宇宙には特別な方向はないということである。たとえ宇宙が一様でも、もしある方向に物質の流れがあったり、電場や磁場がある方向に向いているなら、宇宙には特別な方向があることになり、等方ではない。
 しかし、実際の宇宙は、きわめて希薄なガスしかない空間に恒星があり、恒星が集まって銀河を構成している。渦巻銀河では恒星は銀河面内で回転しており、特別な方向をもっている。さらに銀河は群れて銀河団を構成し、その銀河団が集まり蜂(はち)の巣構造をつくるなど、宇宙の大構造を形成している。したがって現実の宇宙は大構造のスケールまでをみると、宇宙原理は正しくない。しかし、これより大きなスケール、たとえば数億光年より大きいスケールで宇宙を平均してみるならば宇宙はほぼ一様等方であり、宇宙全体を対象として考える宇宙論の研究では宇宙原理は妥当な仮説である。
 宇宙全体を対象としてその膨張や収縮構造の時間発展を知るためには、一般相対性理論の中核となる方程式、重力場の方程式(アインシュタイン方程式ともよばれる)を解かなければならない。
 この方程式は、数学的には非線形テンソル方程式で一般的な解に導くことはむずかしい。しかし、この宇宙原理を採用すると、物質密度や空間の曲率など時空の幾何学をあらわす物理量は、場所によらなくなるので時間しか含まない簡単な方程式となる。
 アインシュタインは1917年、宇宙原理をさらに拡張し、時間的にも一様という仮定、つまり宇宙は時間的には変化しないとしてこの方程式の解を求めようとした。しかし静的な宇宙は自身の重力で収縮してつぶれてしまい、永遠不変な解は存在しなかった。そこで彼は、空間それ自身が斥力をもち、押し広げる効果をもつ宇宙定数を重力場の方程式に加え、ちょうど物質に働く重力とつり合わせ、無理やり静的なモデルをつくりあげた。
 一方1922年、ロシアのA・フリードマンは宇宙原理で簡単になった方程式を素直に解き、時間的に膨張したり収縮したりする宇宙の解を求めた。さらに、1927年ベルギーのG・ルメートルは、アインシュタインが自ら改竄(かいざん)した後の方程式を用いて宇宙が膨張する解を求めた。1929年にアメリカのE・ハッブルにより宇宙が膨張していることが発見され、フリードマンやルメートルの解が宇宙を正しく記述している解であることがわかったのである。1948年、彼らの解に基づきG・ガモフは宇宙は火の玉として始まったというビッグ・バン理論を提唱した。1965年にはこの火の玉の名残(なごり)である宇宙マイクロ波背景放射が発見された。宇宙が膨張したため、温度が絶対温度でおよそ3K(ケルビン)であるマイクロ波電波が、宇宙のあらゆる方向から高い精度で一様等方にやってくるのである。宇宙マイクロ波背景放射には10万分の1程度の温度のゆらぎがあるが、宇宙は全体としてみるならきわめて一様等方であることが観測的にもわかり、宇宙原理が正しいことが示された。[佐藤勝彦]

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世界大百科事典内の宇宙原理の言及

【宇宙】より

…現在一般に受け入れられている立場は,宇宙は一様かつ等方であって,その大局的な特徴は宇宙のどの場所で眺めても同じであるとするものである。この仮定は,イギリスのE.A.ミルンに従って宇宙原理と呼ばれている。この立場に立てば宇宙には中心とか端の区別はない。…

※「宇宙原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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