ピレウス

世界大百科事典 第2版の解説

ピレウス【Piraeus】

ギリシアの首都アテネの南西約8kmにある港市。ピレウスないしピラエウスはラテン語読みで,現代ギリシア語ではピレエフスPiraiévs,古代ギリシア語ではペイライエウスPeiraieus。人口17万(1991)でギリシア第3の都市。古代にも前493年にテミストクレスがここをファレロン港に代わる海軍基地としてから,アテナイの外港として発展した。東側の2港ゼアとムニキアは軍艦のために使用され,西側のカンタロス港は造船所を備えた海軍基地として,また埠頭,倉庫を備えた商取引場としても成長した。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ピレウス
ぴれうす
Pireus

ギリシア南部、アッティカ県にある同国最大の港湾都市。ファリロン湾に臨み、首都アテネの外港で、大アテネ首都圏に含まれる。人口17万5697(2001)。「ピレウス」は現代ギリシア語の発音で、地名の綴(つづ)りPiraiusを古代ギリシア語で発音すればピレエフスとなる。1834年アテネが首都となり港が再建されて以来発展を続け、現在ではギリシア第一の貿易港、商港としてだけでなく、工業都市としても重要。機械・化学工業、造船業を中心に一大工業地帯をなしている。主港(メガロ・リムニ)のカンタロスKantharosは、北西を小さなイエティオニア半島に、南をアクティ半島に挟まれ、その南東はムニキア(カステラ)の丘を経て本土に続く。この丘の南の麓(ふもと)にある小港(ミクロ・リマニ、別称トルコ・リマニ)は海産物レストランの建ち並ぶ観光街となっている。国内各地を結ぶ鉄道の終着駅で、アテネ中心部とは電車および高速道路で結ばれ、両市の間にも市街地が発達する。エーゲ海の主要な島々との海上交通の中心地。海軍兵学校、考古学博物館がある。[真下とも子]

歴史

テミストクレスがアルコン(筆頭の行政官)であったとき(紀元前493/492)、ファレロン(ファリロン)にかわる海軍基地として建設した。ゼア、ムニキア、カンタロスの3港からなり、突堤によって囲まれ、入口は鎖で閉鎖できるようになっていた。なかでもカンタロスは最大の港で、地中海貿易の中心地として、軍事施設のほかに取引所、倉庫なども建ち並んだ。町は前450年ごろミレトスのヒッポダモスの設計により整備され、その後、中心市アテネとは長城によって結ばれた。町には商工業者、在留外人などが多く居住し、ベンディス信仰など異国風の宗教も持ち込まれた。城壁は、前404年にスパルタの指揮官リサンドロスによって破壊されたが、前393年にはコノンにより再建された。前87~前86年にローマのスラの攻撃を受けて壊滅し、その後は19世紀まで十分な復興をみることはなかった。[中村 純]

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