ピータン (皮蛋)
pí dàn
中国料理の食品の一種。紅茶の煮出汁,塩,ソーダ,石灰,草木灰などに,水,土を加え泥状にしたものをアヒルの卵の表面に1cm前後の厚さに塗りつけ,もみがらをまぶし,かめに詰めて保存加工したもの。鶏卵でもつくられる。夏季は5日,冬季は30日ほどででき上がる。保存期間が長いほど卵黄の模様が多くなり,味もなれてくる。ただし,製法と品質は地方により異なり,同一ではない。殻を割ったとき,卵白が青黒く,卵白と卵黄の間に松の花形の結晶が見られるのが上質で,松花蛋とも呼ばれる。切り分けて前菜や粥(かゆ)にそえたりする。同様のものに塩蛋(鹹蛋)があり,広く全中国でつくられている。アヒルの卵に塩,草木灰,土,水を加えこねたものを塗りつけ,30日前後つけこんだものである。塩蛋は,元初の書である《居家必用事類全集》に見られるが,石灰を加えた現在のようなピータンは,清代からである。
執筆者:田中 静一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ピータン
ぴーたん / 皮蛋
アヒルの卵を特殊加工したもので、中国料理の前菜(チエンツァイ)としてなくてはならないものの一つ。天津(てんしん)が本場という。塩、石灰、木灰、茶の葉の煎(せん)じ汁、炭酸ソーダなどに特殊な泥ともみ殻を混ぜて、これでアヒルの卵を包み、甕(かめ)に入れて密封し、1か月余り冷所に貯蔵する。本来この作り方は秘伝とされていたが、現在では日本でもつくるという。栄養上からみると、鶏卵と比較して、エネルギー、タンパク質、カルシウム、リン、ビタミンAなどが多い。貯蔵中にタンパク質が分解して黄身が黒色を帯び、白身は茶色のゼリー状となって、松の花のような模様がみえることから、松花蛋(ソンホワタン)ともいう。仕上がりによって柔らかいもの、固いものがあるが、黄身がすこし柔らかいほうが美味である。表面の泥を落としてから水洗いして殻をむき、縦に4~6割りにして前菜とする。
[野村万千代]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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ピータン(皮蛋)
ピータン
pi-dan
代表的な中国料理の一つで,加工卵の一種。主としてあひるの卵を用い,鶏卵も代用される。食塩を含む強いアルカリ溶液あるいはこれらを含むペースト状混合物に卵を漬けて密封し,冷所に数ヵ月貯蔵する。この間に食塩とアルカリが卵の中に浸透し,卵白が赤褐色のゼラチン状に凝固し,卵黄は周辺が緑黒色に硬化し,中央部は黄褐色に変化して独特の風味をもってくる。この風味は蛋白質の分解によって生じたもので,アンモニアもかなり多く含まれる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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ピータン(皮蛋)【ピータン】
中国料理のアヒルの加工卵。草木灰,生石灰,食塩などによるアルカリ性の泥を卵に塗り,もみ殻をまぶし3ヵ月くらい甕(かめ)などに密封してつくる。卵白は褐色のゼリー状,卵黄は暗緑褐色のゆで卵状で特有の臭気がある。薄切りにしておもに前菜とする。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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ピータン
アヒルの卵を食塩を含むアルカリ性の液や酸化カルシウム,草木灰などを混ぜたペーストに漬けると,食塩やアルカリが卵内に浸入してタンパク質を変性させる.この状態の製品を食用にする.鶏卵でも作る.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のピータンの言及
【中国料理】より
…清代にもなると今日のわれわれにもすでになじみ深い料理が数多く出現する。鴨をふとらせて遠火で丸焼きした烤鴨(北京ダック),鴨の卵を漬けた皮蛋(ピータン),そして燕窩,魚翅も明代とは違って普及した結果,それほど珍しいものでなくなっていた。日本からは長崎貿易を通して輸入された海参の類は珍重された。…
※「ピータン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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