ファウヌス(英語表記)Faunus

翻訳|Faunus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ファウヌス
Faunus

ギリシア神話のパンと同一視された古代ローマの神。牧畜の神として,古くからパラティウム丘で祭祀されていたらしい。伝説ではピクスの後継者としてラティヌスに先立ち,ラティウムを王として支配したともいわれる。のちにはサチュロスなどと同様,複数とみなされるようになり,やぎの角と足をもつ半人半獣神として表象された。

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百科事典マイペディアの解説

ファウヌス

古代ローマの森,牧人,家畜の神。ギリシアのパンと同じく予言をなすとも考えられ,半人半獣の姿で表された。女神ファウナFaunaはその姉妹,妻ないし娘とも。複数形ファウニFauniも同様な山野の精で,サテュロスたちと同一視された。
→関連項目シルウァヌス

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世界大百科事典 第2版の解説

ファウヌス【Faunus】

古代ローマの牧人と家畜の神。その名は〈恩恵を施す者〉の意。早くからギリシアの牧神パンと同一視されたため,美術ではパンと同様,ヤギの角と脚を持つ姿で表現される。彼はもともと森の神で,とくに森の中で聞こえる不思議な音は彼の声と想像されたところから,予言を伝える神としてファトゥウスFatuus(〈語る者〉の意)と呼ばれることもあった。神殿はティベリス川の中州にあり,2月13日にファウナリアFaunalia祭が行われた。

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大辞林 第三版の解説

ファウヌス【Faunus】

ローマ神話の森の神。牧人と家畜の神。ギリシャの牧神パンと同一視された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ファウヌス
ふぁうぬす
Faunus

古代ローマの森の神。その名はfavre(恵みを与える)と同じ語源と考えられ、家畜と農作物を保護する神であった。家畜の神としてはイヌウスInuusの呼称をもつ。またファウヌスは、預言の力を有していたことからファトゥウスFatuusともよばれたが、これは森の中の正体不明の声をこの神のものとしたためで、fri(話す)と関連していると考えられている。なお、家畜と畑の女神ファウナ、預言の女神ファトゥアは、いずれもこの神の女性形である。古くより2月15日に行われたローマのルペルカリア祭は、農作物と家畜と人間の多産を祈る祭礼であるが、おそらくその祭神はファウヌスであったと推察される。ローマの伝説によれば、ファウヌスはラティウムの古王であったといい、のちにはギリシア神話のパンと同一視され、ギリシアのサティロスに似た存在となった。[伊藤照夫]

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世界大百科事典内のファウヌスの言及

【サテュロス】より

…美術では,ヤギの角と耳と脚,また馬の尾をもつ半人半獣の姿に表現されることが多い。のちにローマ人はファウヌスと同一視した。よく似た存在にシレノスSilēnos(セイレノスともいう)があるが,この方は老人で,馬の特徴を多くもっている。…

【パン】より

…その名は〈養う者〉の意。ローマ神話のファウヌスにあたる。もともとアルカディア地方の神で,同地方に多いヤギの脚と角を持つ姿に想像された。…

※「ファウヌス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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