フィロン(古代ギリシアの哲学者)(読み)ふぃろん(英語表記)Philon ho Larissaios

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フィロン(古代ギリシアの哲学者)
ふぃろん
Philon ho Larissaios
(前160/159―前80ころ)

ラリサ出身の古代ギリシアの懐疑派哲学者。クレイトマコスKleitomachos(前187/186―前110/109)に学び、その後を継承してキケロなど多くの弟子を集めて、約21年間新アカデメイアを指導した。真理が実在することを確信することでカルネアデスから離れ、カルネアデスの新(第三)アカデメイアに対して、第四アカデメイアといわれることがある。またカルネアデスの「もっともらしく信じられること」に対して「明瞭(めいりょう)さ」を提出した。フィロンは、アルケシラオスやカルネアデスも含んでアカデメイアはプラトン伝統から外れていないと考えたが、あくまで真理の人間による把握不可能性を強調することで、弟子のアンティオコスの第五アカデメイアと区別される。フィロン以降アカデメイアは衰退の途をたどった。

山本 巍 2015年1月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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