ピュロン(英語表記)Pyrrhōn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピュロン」の意味・わかりやすい解説

ピュロン
Pyrrhōn

[生]前365頃.エリス
[没]前275頃.エリス
ギリシアの哲学者。古懐疑学派の祖。デモクリトス学派のアナクサルコスに学び,アレクサンドロス大王のインド遠征に従ったが,前 330年頃故郷へ帰って教え,信望を集めた。その思想ティモンの嘲笑詩の断片から知られるのみである。彼によれば,われわれの事物に関する表象は真偽の判定の埒外にあり,各人各様知覚ないし認識の可能性があるから,客観的真実や学問の存在は不可能である。したがってわれわれは客観的真実を語るという意味でのあらゆる積極的な主張をやめるために,一切の判断を差し控えること (→エポケー ) が哲学者のとるべき適切な道であり,同時にそれが心の平穏 (→アタラクシア ) へ導く唯一の道であるとした。 (→懐疑学派 , 懐疑論 )  

ピュロン
pylon

塔門。古代エジプトの神殿の正面入口に立つ塔形式の門。一般に上部が水平な断面となり,塔身は方形内側に傾斜し,厚い壁でおおわれている。内部には階段があり,大きなものには小室が設けられている。起源は明確ではないが,神殿の造営が盛んになった第 18王朝以後数多く建造されている。大神殿では2つ以上ある場合もある。代表的な遺構カルナック神殿ルクソール神殿の塔門など。

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