懐疑論(読み)かいぎろん(英語表記)skepticism

翻訳|skepticism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「懐疑論」の解説

懐疑論
かいぎろん
skepticism

人間理性による確実な真理認識をおしなべて否定する哲学立場。その変形されたものとしては,蓋然性を認める認識論的蓋然主,経験的現象での真理認識は認めるがその背後なる超越者の認識を否定する不可知論,客観的真理を否定する相対主義などがあり,認識の局面をこえて実践面にそれを適用した宗教的,倫理的懐疑論がある。絶対的懐疑論は真理認識を否定するが,その主張自体は真理であるとしているのであるから,決定的な自己矛盾を含んでいるというのが,アウグスチヌスの批判である。古代懐疑学派のほかに,近世モンテーニュバークリー,経験論を徹底したヒューム,物自体の認識を否定したカントらが懐疑論者と考えられる。

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百科事典マイペディア「懐疑論」の解説

懐疑論【かいぎろん】

ギリシア語skepsis(〈検討〉)に由来する,英語skepticismなどの訳。人間は普遍的な真理を認識できないとする哲学的立場。独断論に対し,人間的認識の主観性,相対性を主張し,実践的には判断を留保することによって心の平静を得ることを勧める。西洋哲学ではピュロン(ピュロニズムpyrrhonismは懐疑論の別名),デカルト,モンテーニュ,ヒュームなどが代表者。

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旺文社世界史事典 三訂版「懐疑論」の解説

懐疑論
かいぎろん
Skeptizismus (ドイツ)
scepticism (イギリス)

普遍的で確実な真理の認識を原理的に疑う立場
独断的な形而上 (けいじじよう) 学や伝統的な神学的世界などに対する批判として積極的な意義をもつ場合もあるが,普遍的・客観的な真理のいっさいを疑うところから,反科学主義や退廃的世界観とも結びつきやすい。古代のピュロンらの懐疑派,また近代ではモンテーニュ・ヒュームらが有名。

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精選版 日本国語大辞典「懐疑論」の解説

かいぎ‐ろん クヮイギ‥【懐疑論】

〘名〙 あることについて、そのものの価値、存在などを疑うような考え。哲学では、すべての認識について、その主観性と相対性に力点をおくため、客観的、普遍的真理の認識の可能性を信じないで、断定的判断を原理的にさしひかえる態度、またはその思想。懐疑主義。⇔独断論。→懐疑派。〔和漢大辞典(1919)〕

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世界大百科事典 第2版「懐疑論」の解説

かいぎろん【懐疑論】

〈検討〉を意味するギリシア語skepsisに由来する西洋哲学用語(英語ではskepticism)の訳として用いられる語。人間的認識の主観性と相対性を強調して,人間にとって普遍的な真理を確実にとらえることは不可能だとする思想上の立場。独断論dogmatismに対する。広義にはあらゆる普遍妥当的な真理の認識可能性を否定する立場を指すが,狭義には特定領域,例えば宗教や道徳において確実な真理に到達する可能性を否定する立場を指すのにも用いられる。

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