〈休止〉〈停止〉を原義とする西洋音楽の用語。で表される。イタリア語では記号の形状からコロナcoronaともいう。大別して(1)正規の拍節が停止されて音符や休符が延長されること(延長記号),(2)曲の区切りや終止,の二つの意味がある。(1)の意味では,音符や休符の上に置かれてその音価を任意に長くする。しかし,とくに長い休符に付される場合には,必ずしも延長を意味せず,適当な長さの休みを漠然と要求している。近代では休止の意味で小節線の上に置かれた例もある。(2)の意味では,ドイツ・プロテスタントのコラールにおけるフレーズの区切り,ダ・カーポ形式の主部や,カノン,変奏曲などの終止,さらに協奏曲における即興部分(カデンツァ)の開始と終止で使用される。なお,音価の延長という概念はすでに13世紀ころの理論書にみられる。15世紀のティンクトーリスは,この意味での記号をプンクトゥス・オルガーニ(オルガン点)と呼んでいる。この語はやがてペダル・ポイントpedal point,オルゲルプンクトOrgelpunkt(ドイツ語),ポアン・ドルグpoint d'orgue(フランス語)などの各国語で,おもに多声音楽の終止部や曲中における特定声部の保続音を指すようになった。フランス語でポアン・ドルグという場合はフェルマータを指す。英語ではポーズpause(休止)の語も使われる。
執筆者:土田 英三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
西洋音楽の五線記譜法で用いられる演奏記号で、のこと。フェルマータは、イタリア語で「停止させる」を意味するフェルマーレfermareに語源をもち、元来は複縦線の上に置かれて楽曲の終わりを示す終止記号であったが、しだいにその用法が拡大していった。単縦線の上に置かれれば、続く小節との間に短い休止を挟むように演奏することを指示し、コラールでは音符の上につけられて歌詞の段落を示した。ウィーン古典派以降の音楽では、音符または休符の上につけられて、その音符や休符を本来の時価以上に延ばして演奏するように指示する記号となった。ただし、その延ばす度合いは数値的に定まっていない。
[黒坂俊昭]
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