フェレドキシン(その他表記)ferredoxin

翻訳|ferredoxin

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改訂新版 世界大百科事典 「フェレドキシン」の意味・わかりやすい解説

フェレドキシン
ferredoxin

分子中に鉄原子と不安定無機硫酸を等量ずつ含んでいるタンパク質で,酵素作用はなく光合成,窒素固定などの各種代謝系で電子伝達体として機能する。細菌藻類,高等植物に広く分布し,分子量は6000~2万5000。可視部に特徴的な吸収スペクトルを示す。多くの生物種のものについて,その一次構造が決定され,立体構造も解析されている。さらにそれらの比較に基づく分子進化の研究も進んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェレドキシン」の意味・わかりやすい解説

フェレドキシン
ferredoxin

植物および細菌に広く分布する電子伝達蛋白質。鉄と硫黄の原子を等モルずつ含んでいて (2個ずつのことが多い) ,分子量は1万~1.6万。植物では光合成明反応での電子伝達に関与する。酸化還元電位は低く,ホウレンソウのフェレドキシンでは-0.42V。嫌気性細菌クロストリディウム・パストゥリアヌムのフェレドキシンは分子量4万で,窒素固定反応における窒素還元に関係すると考えられている。また副腎皮質などの動物組織にもフェレドキシンは見出されているが,その役割については十分明らかでないものもある。

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世界大百科事典(旧版)内のフェレドキシンの言及

【鉄】より

…前者はヘムタンパク質と呼ばれ,動物赤血球中のヘモグロビン,筋肉中のミオグロビンなどがその例で,おのおの4分子,1分子のヘム基をもち,酸素分子の運搬,貯蔵の役割をしている。後者には,光合成の際,電子伝達の役割を果たすフェレドキシンなどがあるが,総称して鉄硫黄タンパク質と呼ばれる。また,イオンとしての鉄は,ある種の酵素(アコニターゼなど)の活性化に必要な因子としても働く。…

※「フェレドキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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