分子進化(読み)ぶんししんか(英語表記)molecular evolution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

分子進化
ぶんししんか
molecular evolution

生物の進化過程を分子レベルでとらえた場合,これを分子進化と呼ぶ。その範囲は広いが,次の2つの分野に大別できる。 (1) 生命進化の初期に,高分子および高分子系が成立し,まとまりの程度を高めて,細胞にまで進化していく過程。 (2) 現在の生物と同様な遺伝機構がすでに確立した生物において,進化的な変化を分子のレベルでとらえていく場合。現在は,蛋白質立体構造デオキシリボ核酸 DNA分子の遺伝情報により規定されるという立場から,各種生物の相同蛋白質の構造と機能や核酸の構造を比較し,その生物の進化の過程や機構を明らかにすることを目的としている。

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百科事典マイペディアの解説

分子進化【ぶんししんか】

核酸の塩基配列タンパク質アミノ酸配列など分子のレベルで起こる生物の進化。これらの分析によって生物の系統関係を明らかにすることができる。多くの生物の分子比較によって,同じタンパク質では分子進化の速度がほぼ一定であることが明らかになったが,一般に機能的に重要な分子ほど進化速度は遅い。分子進化は自然淘汰とは無関係(中立)な突然変異によって起こるとする木村資生の〈中立説〉が広く受けいれられている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんししんか【分子進化 molecular evolution】

生物進化の分子レベル,すなわちタンパク質や核酸レベルでの進化。生物の系統関係を明らかにし,進化をあとづけるためには,現存生物の比較研究が不可欠である。初期には外部形態(比較解剖学)やその形成(比較発生学)の比較が研究の主流であったが,生化学進展とともに,生体成分を比較する比較生化学が,1930‐40年ころ一つの学問分野として確立した。脊椎動物におけるアンモニア尿素尿酸という窒素排出様態の比較研究はその一例である。

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世界大百科事典内の分子進化の言及

【生物学】より

…《種の起原》におけるダーウィン説は,遺伝の理論などが不明であっただけに,かえって幅の広い含みをもっていたが,20世紀に入ってからは,突然変異や集団遺伝学(R.A.フィッシャー《自然淘汰の数学的理論》1930)によって整理,補強されたネオ・ダーウィニズム,すなわち総合学説が主流を占め続けた。分子生物学の時代になって,タンパク質のアミノ酸配列および核酸のヌクレオチド配列を比較するいわゆる分子進化の研究も在来のデータを補って,点突然変異・淘汰の理論をいっそう補強した。しかしダーウィンおよびネオ・ダーウィニズムへの方法論的,また実際的な批判は絶えることなく続いてきた。…

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