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ブイリーナ ブイリーナ Bylina

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ブイリーナ
ブイリーナ
Bylina

古代ロシア英雄叙事詩。おもに 11~16世紀の歴史上の事件を題材に,民衆の間で語られ歌われた史謡の総称。そこには民衆の歴史意識や理想がいきいきと反映されており,祖国のために献身する高い徳性をそなえた勇士たちが主人公であることが多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

ブイリーナ【bylina】

ロシアの民衆の間で伝承された一群の英雄叙事詩。キリスト教と異教の相克,遊牧民との闘争など,11~16世紀のロシア史上の諸事件を反映しているが,登場する英雄たちが常に実在人物に比定できるわけではない。異教時代の面影をのこす豪傑たちをうたったもの,キエフ大公ウラジーミルに仕えるイリア,ドブルイニャ,アリョーシャなどの勇士が活躍するもの,グースリ弾きから商人に成り上がるサトコやわんぱく者ワシーリーを主人公とするノブゴロドの市民生活と結びついたものなどに大別される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブイリーナ
ぶいりーな
Былина Blina 

ロシアの口承文芸の重要なジャンルの一つで、歌謡形態の英雄叙事詩。ブイリーナは「過去にあったこと」を意味し、口承文芸のジャンル名称として19世紀の30年代に定着した術語であり、民衆の間では「スターリナ(昔語り)」とよばれていた。ブイリーナは、その古称「昔語り」が示すように、10~16世紀のロシアの歴史を反映している。南方キエフと北方ノブゴロドの地で発生し、数世紀にわたる伝承の過程においてさまざまに変化したが、その主題が中世ロシアにおいて重要な役割を果たした二大都市、キエフとノブゴロドに関連するために、キエフ歌圏とノブゴロド歌圏という二系統の歌群を形成する。
 キエフ歌圏のブイリーナでは、イリヤ・ムーロメッツ、ドブルイニャ・ニキーチチ、アリョーシャ・ポポビチなどの天下無双の豪傑たちが「太陽公」ウラジーミルが君臨する「栄えある都」キエフを舞台として、外敵や怪物を相手にさまざまな活躍をみせる。彼らはキエフ大公の従士団に属する愛国の志士たちで、「聖なるロシアのために」タタールと戦う。ブイリーナには英雄叙事詩特有のアナクロニズムがあり、活動舞台は10、11世紀のキエフ・ロシアに設定されているのに、13世紀以降のタタールとの戦闘が最大の関心事となっている。
 ノブゴロド歌圏のブイリーナは、14、15世紀にハンザ同盟の商業都市として繁栄した北西ロシアのノブゴロドを舞台としたもので、そこには南ロシアのステップも勇士たちの武勲もなく、主題をなすのは都市の日常生活であり、主人公も市民である。代表的な主人公は、イリメニ湖の水の王との出会いから豪商となるきっかけをつかんだ琴弾きのサトコーと喧嘩(けんか)好きの暴れん坊ワシーリイ・ブスラーエフの2人で、ノブゴロドの富と力とを象徴する。[栗原成郎]

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世界大百科事典内のブイリーナの言及

【口承文芸】より

…近代になって,主としてロマン主義の思潮の中で民族の過去を再評価する立場から,口承文芸の採録が行われるようになった。ロシアでは18世紀後半にキルシャ・ダニーロフの民謡集が編纂され(出版は1804),1850‐60年代にはアファナーシエフの昔話集と伝説集が相次いで刊行され,さらに60年代から70年代にかけてブイリーナと呼ばれる口承叙事詩がルイブニコフとギリフェルジンクによって採録,刊行された。南スラブではセルビアのブク・カラジッチがトルコ支配下の故郷の各地を歩きまわって集めた叙事詩を1810年代以降ライプチヒやウィーンで次々と出版して,ゲーテをはじめヨーロッパ各国の作家や学者たちの注目を集めた。…

【ロシア・ソビエト音楽】より

…子守歌も単純な類型的なものが多く,古い型を残しているものの一つに数えられている。
[ブイリーナ]
 叙事詩は一定の旋律型の繰返しで延々と歌い継がれるブイリーナがよく知られている。約2500行の詩と120足らずの旋律が記録されているという。…

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