市民革命ともいう。ブルジョア民主主義革命という用語も用いられるが、それはブルジョア革命と同義で用いられる場合と、ブルジョア革命のなかでとくに下からの民衆の参加が決定的な意義をもったケースに限定して用いられる場合がある。ブルジョア革命とは、封建制の残存物を一掃し、資本主義の発展を保障する政治的・社会的変革である。政治的にはそれは、資本主義的生産様式のこれ以上の発展を妨げ、その障害物と化した絶対王政の政治支配を打倒してブルジョアジーの政治権力を樹立する革命であり、その指導力は新興ブルジョアジーによって、その推進力は農民および都市勤労大衆によって提供される。社会・経済的には、それは、資本主義に適合的な社会を実現しようとする革命であるところから、経済外的強制の体系としての領主制と身分制の廃棄、商品所有者としての個人の法の前の平等と経済的自由の実現、自由な私的所有の確立などを、その基本的・一般的課題とする。もっとも、このような課題を果たすための変革が、革命という形態をとるとは限らない。すなわち、相対的後進国などでは、先進資本主義国の圧力やブルジョア革命の流産の結果として、旧来の支配層自体が、上からの一定程度のブルジョア的改革を行い、資本主義社会を実現することがある(ドイツ・イタリアなどの場合)。このような場合の変革は、ブルジョア的改革とよばれ、ブルジョア革命とは通常区別される。
一般に史上最初のブルジョア革命とされるのは、17世紀イギリスの革命であり(ピューリタン革命と名誉革命)、ついで18世紀の最後の四半世紀のアメリカ独立革命とフランス革命がその典型的事例とされる。これらのうち、イギリスでは旧支配層がそれほど抵抗することなく新体制に順応したため、ブルジョアジーが旧支配層と妥協しつつ革命を遂行することができた。アメリカでは宗主国イギリスからの独立と国内における一定の社会的変革が結び付いて革命がなされたが、前者の課題に力点が置かれていた。フランスでは、旧支配層の抵抗が激烈を極めたため、ブルジョアジーは小生産者大衆と同盟して革命を遂行せざるをえず、諸階級の対立・闘争がもっとも鮮明に現れた。なお、日本の明治維新については、これをブルジョア革命とみる見解と絶対主義の形成とみる見解が対立しているが、むしろブルジョア的改革の起点とみなすことが妥当であろう。
[田口富久治]
市民革命とも。封建社会から市民社会・資本主義社会への移行の画期となる革命。イギリス革命(ピューリタン革命・名誉革命)とフランス革命に代表される。日本資本主義論争において,明治維新にその概念を適用できるか否かの論議がなされた。ブルジョア革命=資本主義化とする労農派は,明治維新を不徹底なブルジョア革命としたのに対して,ブルジョア革命=民主主義化とする講座派は,維新を絶対主義国家と半封建的資本主義の成立の画期だとし,第2次大戦敗戦までの間に「上からのブルジョア革命」があったか否かを問題とした。
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…そしてこの史観の副産物として,〈内乱〉におけるピューリタンの貢献をたたえる〈ピューリタン革命〉という呼称も広く使われるようになった。一方,マルクス主義に従ってこの革命を世界最初の〈ブルジョア革命〉とする把握も現れたが,その場合,のちのフランス革命と比較してこの革命のもつ妥協的で不徹底な性格が強調された。たしかにこの革命が結局は君主政と国教会を廃止することなく,貴族政的な体質を温存させることになったのは認めねばならない。…
…労働者階級が農民をはじめとする勤労人民を指導してブルジョア政治権力を打倒し,プロレタリアートの独裁によって,資本主義制度を一掃し,社会主義社会の建設をめざす革命である。革命の歴史的類型としてはブルジョア(民主主義)革命と対照せられる。またこれを社会主義革命と呼ぶことがあるが,プロレタリア革命という場合には革命の指導勢力に力点がおかれるのに対し(ただしプロレタリアートの指導する革命のすべてがプロレタリア革命になるわけではない。…
…とりわけ,ピューリタン革命中に後見裁判所の廃止によって実現した,土地に対する私有財産権の法的確立が,資本主義的な生産様式の発展に適合的な社会をつくりだすことに大きく寄与した点を高く評価しなければならない。17世紀のイギリスにおける二つの革命(ピューリタン革命と名誉革命)を世界で最も早い時期にたたかわれたブルジョア革命とみるのは,この意味においてである。 二つの革命はいずれも議会を中心にして貴族・ジェントリーのレベルでたたかわれ,歴史的な権利の回復の要求を基調とした。…
※「ブルジョア革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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