長方形断面の両端面を平行な平面に仕上げ,その二面間の距離を,示す寸法にきわめて正確に作ったもので,長さの端面基準として用いられる。ブロックゲージはスウェーデンのヨハンソンCarl Edvord Johanson(1864-1943)によって発明された。ヨハンソンは互換性生産方式における工場の測定体系を機能化するため小さなゲージを数多く作り,これを多数組み合わせて兵器の生産に必要なすべてのゲージを作りたいと考えて,1894年にブロックゲージを発明した。このとき,初めて作られたものは102個組で,0.01mmとびに1mmから201mmまで2万種の測定ができるものであった。国産化は1931年津上退助によって行われた。ブロックゲージの断面寸法は10.1mm以下は30mm×9mm,10.1mmを超えるものは35mm×9mmである。材料は鋼,超硬合金,熔融水晶などである。熱膨張係数は(11.5±1.0)×10⁻6/℃以内を原則とし,それ以外のものは熱膨張係数を明示することになっている。ブロックゲージの両端面はきわめて平らに仕上げられ,互いにこすりつけると密着(リンギング)する。したがって,ブロックゲージ1個は一つの寸法を表すが,多数個密着することによって種々の寸法を作り出すことができる。密着による寸法誤差は0.01μm以下である。密着したブロックゲージをはなすには98~294N(10~30kgf)の引張力が必要であるといわれている。ブロックゲージの標準組合せにはいくつかあるが,もっとも一般的なものは103個組である。この組合せでは最小5μm単位を数個密着組み合わせることによって250mm程度までの任意の寸法を作り出せる(図)。例えば123.465mmは100+21+1.46+1.005=123.465mmで4個の密着である。ブロックゲージの精度は標準ブロックゲージの校正,または学術的研究に用いられる00級から各種ゲージの製作,測定器類の調整などに用いられるものまで4段階の等級がある。ブロックゲージの測定面の中心における中央寸法誤差は,呼び寸法の区分によって異なるが,00級のものは10mmは0.06μm,100mmは0.14μm,1000mmは1.00μmである。00級または0級のブロックゲージの比較測定に使用する標準のブロックゲージは光波干渉測定方法によって検査される。0級,1級,2級のものは標準のブロックゲージと比較測定方法によって検査される。光波干渉測定は0.03μm,比較測定では0.05μmの精度である。ブロックゲージには6種類の付属品があって,これらを活用することによって用途をさらに拡大することができる。ブロックゲージの日常の使用時の保守管理は防錆と損傷の防止である。わずかの傷,さびが生ずれば密着は不可能になる。JISに形状寸法,精度などが規定されている。
執筆者:横山 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
長さの標準として用いられる端度器。測定室ならびに製造現場において広く用いられる。スウェーデンのヨハンソンCarl Edvard Johansson(1864―1943)によって19世紀の末に初めて製作された。形状は直方体で、六面のうちの二面が測定面として平面度、平行度ともに高精度にラップ仕上げされ、その二面間の厚さが所要の寸法をもっている。寸法の異なる多数のブロックゲージが一つのセットとして供給されており、これらを組み合わせて種々の長さをつくりだすことができる。103個組み、76個組み、47個組みなど、製造メーカーによって種々のセットが供給されている。また精度によってK、0、1、2級などの等級がある。
[清水伸二]
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