デジタル大辞泉 「ヘブリディーズ諸島」の意味・読み・例文・類語
ヘブリディーズ‐しょとう〔‐シヨタウ〕【ヘブリディーズ諸島】
[補説]作品名別項。→ヘブリディーズ諸島
翻訳|Hebrides
イギリス,スコットランド北西岸沖から西岸沖にある諸島。ローマ時代にはエブダイまたはヘブーデス諸島と呼ばれ,現在はウェスタン諸島Western Islandsの別称を有する。北緯55°35′から58°30′にかけて南北に細長くのびる約500の島々から構成され,総面積約7500km2,人口約4万8500(1981)。諸島はインナー・ヘブリディーズとアウター・ヘブリディーズに大きく区分される。前者は狭い水道を隔ててスコットランド本土に近接し,スカイ,マル,アイレーとジュラの各島を中心とする3グループから構成される。また後者はノース・ミンチ,リトル・ミンチ両海峡およびヘブリディーズ海をはさんでさらに西方沖に連なり,ルイス,ノース・ウイスト,ベンベキューラ,サウス・ウイスト,バラの5主島が列島をなす。地質はおもに変成岩からなり,ルイス島の片麻岩は世界最古の岩石の一つとして知られるが,マル,スカイ,フィンガル洞窟で知られるスタッファ各島では玄武岩の貫入が見られる。
山地が多く,冷涼で霜が深いため泥炭地が卓越し,一部での牧羊,牧牛を除いては漁業や在来の毛織物業(ハリス・ツイードHarris tweed),観光が主産業となっている。中石器時代のストーン・サークルが残り,ケルト人を先住民とするが,6世紀のキリスト教化,8世紀から1266年までのノルウェー支配を経てスコットランド領となった。このため北欧的な文化要素も残存し,また18世紀後半以降はカナダへの移住者が多くでた。1974年からアウター・ヘブリディーズはウェスタン・アイルズ州として独立し,インナー・ヘブリディーズの北部はハイランド州,中・南部はストラスクライド州にそれぞれ編入された。中心都市はルイス島のストーノウェーで漁業基地となっている。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリス、スコットランド北西岸に連なる諸島。約500の島々からなり、面積7380平方キロメートル、人口約6万。スコットランド本土に近接するスカイ、マル、ジュラ、アイレーなどの島々からなるインナー・ヘブリディーズ諸島と、リトル・ミンチ海峡を隔てて位置するルーイス、南北ウーイストなどの島々からなるアウター・ヘブリディーズ諸島からなる。島々は北緯55度30分~58度30分にあって大西洋に面するので、冷涼で霧の多い気候下にあり、そのため農耕には適さない。8世紀にノルウェーの支配下に入り、1266年にスコットランド王に譲られたので、地名や風習はスカンジナビア風のものが残っている。隔絶性が強いため、18世紀のチャールズ王子隠遁(いんとん)の史話や、地方色豊かな民話・民謡が残されている。諸島の主産業は漁業、牧畜、ツイード織で、近年は観光地として脚光を浴びている。
[小池一之]
『藪内芳彦著『島――その社会地理』(1972・朝倉書店)』
…こうした自然のため不毛地が広く,粗放的牧羊とエンバクの栽培がみられるにすぎない。またヘブリディーズ諸島など周辺島嶼も漁業と牧羊を中心とする過疎地域であったが,北海油田の開発に伴ってシェトランド諸島,オークニー諸島には原油基地が建設され,地域開発が推進されている。(2)中部 南北を断層線で画された低地帯で,スコットランドの政治・経済の中心地をなす。…
※「ヘブリディーズ諸島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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