翻訳|helmet
本来の意味は中世の騎士が用いた兜(かぶと)で,頭部を防護する武具を指すが,現在では工事,オートバイ等の運転,スポーツ等の際に頭部を防護するための安全帽をもいう。丈夫で軽い強化プラスチック製が多い。武具としてのヘルメット(兜)は鉄砲の出現により一時戦場から消えたが,第1次大戦中に鋼鉄製のヘルメット(鉄帽)が砲弾の破片や低速の弾丸に対して有効であることが認められ,フランス軍を先頭にイギリス軍,ドイツ軍などが競ってこれを採用,その後参戦したアメリカもイギリスから購入して装備した。アメリカ軍は1941年に樹脂製のライナーliner(中帽)とマンガン鋼製の鉄帽に分かれる独自のタイプのヘルメットを採用したが,他の各国は一体式の鉄帽を第2次大戦を通じて使用している。80年代になり合成繊維を使用した積層型や繊維強化型のヘルメットが実用化され,アメリカをはじめイスラエル,韓国等が逐次装備しているが,ロシア,ドイツ等は依然として鋼鉄製を使用している。アメリカ軍の新しいヘルメットは一体式で,重量は従来の鉄帽とほぼ同じ約1.5kgである。
執筆者:鈴木 英夫
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