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ベルガ Verga, Giovanni

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ベルガ
Verga, Giovanni

[生]1840.8.31. カタニア
[没]1922.1.27. カタニア
イタリアの小説家,劇作家。シチリアの貴族の家に生れたが,少年時代に自由主義思想に心酔,歴史小説『山のカルボナリ党』I carbonari della montagna (4巻,1862) を著わした。青年時代をフィレンツェやミラノで過し,ロマン主義風の感傷的な中・短編小説,『罪ある女』 Una peccatrice (66) ,『やまがら物語』 Storia di una capinera (70) ,『エバ』 Eva (73) などを発表。『ネッダ』 Nedda (74) に始る故郷シチリアを舞台にした長・短編小説は,反伝統的な乾いた文体の考案と相まって,リアリズム小説に新境地を開いた。『田園生活』 Vita dei campi (80) ,『マラボリア家の人々』I Malavoglia (81) ,『田園小説集』 Novelle rusticane (83) ,『マストロ・ドン・ジェズアルド』 Mastro-don Gesualdo (89) などは,いわゆるベリズモ文学の代表的傑作。

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百科事典マイペディアの解説

ベルガ

イタリアの作家。統一イタリア実現後の故郷シチリアの民衆の姿を没個性的に客観描写しようとして,新しいリアリズムの文体を樹立,〈ベリズモ〉と呼ばれた。また地方的郷土小説の流行を促した。

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世界大百科事典 第2版の解説

ベルガ【Giovanni Verga】

1840‐1922
イタリアの小説家,劇作家。シチリア島カターニア市で,自由な気風の貴族の家柄に生まれた。一家はカターニア市の中心部と内陸の町ビッジーニの周辺に農地を領有し,父方の祖父は政治秘密結社カルボナリ党の地方有力者でもあった。おりから近代国家統一(リソルジメント)の激動期にあたり,青年ベルガは在俗司祭で熱烈な愛国者であった詩人アバーテAntonio Abateのもとに学んで,15歳のときに早くも処女小説《愛と祖国》を書いたが,これは後年,数章が発表されただけで,全体は刊行されなかった。

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大辞林 第三版の解説

ベルガ【Giovanni Verga】

1840~1922) イタリアの小説家。近代化の矛盾を生きる故郷シチリアの民衆の姿を淡々とリアルに描いた。長編「マラボリア家の人々」はベリズモの代表作。マスカーニのオペラ「カバレリア-ルスティカーナ」の原作者としても知られる。 → ベリズモ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベルガ
べるが
Giovanni Verga
(1840―1922)

イタリアの小説家、劇作家。シチリア島エトナ火山の麓(ふもと)にある古くからの海港、カターニアに生まれる。父方はカターニアから南西へ約50キロメートル内陸に入った町ビッズィーニの貴族の出身であり、母方はカターニア市の富裕な旧家の出であった。父方の祖父は政治秘密結社カルボナリ党の地方有力者でもあり、一家には自由な気風が流れていた。ベルガの青春は、イタリアの近代国家統一の激動期と重なり合う。適当な教育機関がなかったために、遠い親戚(しんせき)筋にあたる在俗司祭アントーニオ・アバーデに中等教育を受けた。熱狂的な愛国者であり詩人でもあったこの師の影響を強く受けて、ベルガは15歳のときに早くも処女作『愛と祖国』を書いた。しかしこの長編小説は、後年、数章が発表されただけで、未刊に終わった。1858年にはカターニア大学に入り法学部に籍を置いたが、おりからガリバルディの遠征隊がシチリア島に上陸したため、その愛国的行動に共鳴して、国家防衛隊に参加し、政治と文学の週刊紙『イタリア人のローマ』を創刊した。1861~1862年には歴史小説『山のカルボナリ党』を書き、翌1863年にはフィレンツェの雑誌『ラ・ヌオーバ・エウローパ』に小説『干潟の上で』を連載した。これらの初期三部作はいずれもイタリア独立運動にまつわる物語を扱っている。しかしながらイタリア近代国家の成立は、その達成と同時に、シチリアを周縁の地域に押し込めてしまった。ベルガは中央の文学界に出て名をあげようと考え、地方生活の不満もあって、1865年に当時イタリアの首都であったフィレンツェに赴き、文学サロンに出入りして、感傷的な作品『罪ある女』(1866)や『山雀(やまがら)物語』(1871)を、また1872年にはミラノに移って『エーバ』(1873)、『王の虎(とら)』『エロス』(ともに1875)などのロマン主義的な作品を次々と発表して、流行作家になった。前衛芸術家集団スカピリアトゥーラの運動にも参加した。[河島英昭]

文学的転機

けれども転機は1874年に訪れた。「シチリアのスケッチ」という副題をつけた小冊子『ネッダ』(1874)は、斬新(ざんしん)な目で故郷シチリアをとらえ返し、新しい文学の地平を切り開いた。近代国家のひずみを受けて、極貧の生活にあえぐ零細農民、羊飼い、漁民、鉱山労働者など、社会の最下層の人々が描き出された。短編集『田園生活』(1880)、『田園小説集』(1883)、長編『マラボリア家の人びと』(1881)、『マストロ・ドン・ジェズアルド』(1889)などは、従来のイタリア文学の修辞的伝統を打ち破り、没我の視点から、原始的本能のままに行動する貧しく無知なシチリア人と、古代ギリシア世界を思わせる特異な風土とを描いて、新しいリアリズムの文学をイタリアに確立した。これは真実主義(ベリズモ)と名づけられ、民衆を歴史と社会のうちに真に位置づける態度から、パベーゼやビットリーニのネオレアリズモ文学に引き継がれ、現代イタリア文学の源流をなすに至った。なお、ベルガの作品をキリスト以前の、反近代文明という視点から評価し、深い共感を込めて小説の英訳と論評とを行った文学者にD・H・ローレンスがいる。[河島英昭]
『河島英昭訳『ネッダ』(『カヴァレリーア・ルスティカーナ他』所収・岩波文庫)』

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世界大百科事典内のベルガの言及

【イタリア演劇】より


[19~20世紀初頭]
 ロマン主義の後,自然主義的演劇がヨーロッパでは生まれてくるが,イタリアではこれは〈ベリズモverismo(真実主義)〉と呼ばれた。ベリズモの作家としては,G.ベルガがおり,《牝狼》はよく知られた作品である。また反自然主義的で,退廃的といわれた作家にG.ダンヌンツィオがいる。…

【イタリア文学】より

…統一イタリア王国の精神的風土を培うものとして,その後,この作品が文学というよりは倫理的規範となっていったのは,むしろ当然のなりゆきであった。 G.ベルガの作品はその点でマンゾーニをはじめとするロマン主義の文学と鋭く対立した。まず何よりもベルガが,シチリア出身の自由主義思想の持主であったことを確認しておかねばならない。…

【シチリア[島]】より

…シチリア島では1250年前後にホーエンシュタウフェン家の宮廷に栄えた〈シチリア派〉以後,文学史上はまったくの沈黙のうちにリソルジメント(国家統一)期を迎えた。G.ベルガ(1840‐1922)は東海岸のカターニア市に生まれ,シチリア島がイタリア王国に組み込まれてゆく過程のなかで,統一国家から何の恩恵も受けず,従来と同じく弾圧され苦しみつづける民衆の姿を描いて,イタリアの文学的伝統を一挙に革新した。シチリア島の日常会話語を母体とするベルガの詩的散文は,長・短編小説群となって結実し,同じくカターニア市出身の評論家L.カプアーナによって〈ベリズモ(真実主義)〉と規定され,イタリア各地とくに南部諸地域に,リアリズム文学を勃興させ,地方主義文学と呼ばれるにいたった。…

【ネオレアリズモ】より

…第2に,思想的にも文学手法上も,パベーゼの長編小説《故郷》(1941)とビットリーニの同じく長編小説《シチリアでの会話》(1941)とを出発点にしていること。第3に,これら2作品が19世紀シチリアの小説家ベルガの文学を受け継ぎ,これを詩的散文に展開させたこと(したがって,ネオレアリズモは新しいイタリアのリアリズム(すなわち新しいベリズモ)を意味している)。また,第4に,パベーゼもビットリーニもアメリカ文学の影響を強く受けていること。…

【ベリズモ】より

…フランスのナチュラリスム(自然主義)と密接な関係をもち,イタリア国内でも他の世紀末文学運動と混ざりあい,ロマン主義的ベリズモ,頽廃的ベリズモ,といった呼称もみられる。厳密な意味での〈ベリズモ〉の規定は,批評家L.カプアーナが《現代イタリアの演劇》(1872)のなかでG.ベルガの文学作品を論じた部分に,多くを負っている。そしてベルガ自身,没我の視点に拠る自分の手法を,短編《ネッター》《グラミーニャの恋人》や長編《マラボリア家の人びと》の序文のなかで検討し,真実(デル・ベーロ)を目ざす文学と述べている。…

【マラボリア家の人びと】より

…イタリアの小説家G.ベルガの代表作。〈敗北者〉という副題がつけられている。…

【メッツォジョルノ】より

…形式と内容,生活と文化は密接不可分の関係にあるとする彼の批評原理は,クローチェ,さらにはグラムシを介して,現代にも濃い影を落としている。国家統一は成ったものの,その恩恵からも経済的発展からも取り残された南イタリア出身の作家たちの多くは,G.ベルガの影響のもとに,南部の農民たちや最下層の都市住民たちの貧しい悲惨な生活をリアリスティックに描いている。M.セラーオ,C.アルバーロ,R.スコテラーロなどがその代表的な作家である。…

※「ベルガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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