ベルクマン(読み)べるくまん(その他表記)Ernst von Bergmann

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベルクマン」の意味・わかりやすい解説

ベルクマン
べるくまん
Ernst von Bergmann
(1836―1901)

ドイツ外科医。無菌手術法の開発に努力した。リガ生まれ。ドルパットウィーンベルリンの各大学で学び、青年時代には軍医の経験もある。1878年ウュルツブルクのユリウス病院外科部長、1882年からランゲンベックBernhard von Langenbeck(1810―1887)の後任としてベルリン大学外科教授となり、19世紀末ドイツにおける外科の第一人者といわれた。リスターの石炭酸法にかえて、熱気煮沸を主とした滅菌条件で先駆的な手術を行った。

中川米造

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改訂新版 世界大百科事典 「ベルクマン」の意味・わかりやすい解説

ベルクマン
Ernst Gustav Benjamin von Bergman
生没年:1836-1907

ドイツの外科医。リガ(リトアニア)で生まれ,1860年ドルパート大学を卒業して外科学助手となり,71年ドルパート大学教授。78年ビュルツブルク大学,82年ベルリン大学へ転じた。この間しばしば軍医として従軍,その経験から軍陣外科手術改善に努力した。とくに創傷消毒滅菌に注目し化学的滅菌法を研究して近代外科学の確立貢献。また脳外科開拓にも尽力した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベルクマン」の意味・わかりやすい解説

ベルクマン
Bergmann, Ernst von

[生]1836.12.16. リガ
[没]1907.3.25. ウィースバーデン
リトアニア生れのドイツの外科医。 1882年ベルリン大学外科教授。脳外科の発展に貢献し,その著『頭部外傷についての講義』 Die Lehre von den Kopfverletzungen (1880) ,『脳疾患の外科的治療法』 Die Chirurgische Behandlung der Hirnkrankheiten (88) は脳外科学の古典とされている。外科手術の滅菌法についても功績が多く,外科器具の消毒に昇汞を用いはじめたのは彼であったという。 86年には手術器具や包帯類,衣類の蒸気滅菌法を導入し,腎臓摘出のための切開法も考案した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ベルクマン」の解説

ベルクマン Bergman, Sten

1895-1975 スウェーデンの動物学者,探検家。
昭和4年来日し,根室からウルップ島にわたり択捉(えとろふ)島で越冬。翌年の夏まで北端のアライド島にいたる千島列島(クリル諸島)各島の生物学的・民族学的調査をおこなう。1932年その記録「極東の一千の島々」(邦訳「千島紀行」)を刊行。カムチャツカ,ニューギニア探検でも知られる。享年80歳。

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世界大百科事典(旧版)内のベルクマンの言及

【手術】より

…一方それまで医学において遅れていたドイツのベルリンにもCollegium medicochirurgicumが設立され,ようやく医学の一分野としての外科の立場が認められるようになった。 19世紀に入って,アメリカのロングCrawford Williamson Long(1842),ウェルズHorace Wells(1844),W.T.G.モートン(1846)やイギリスのシンプソンJames Young Simpson(1847)らによる全身麻酔法,L.パスツール(1861)の腐敗現象は空気中の微生物によるという報告に基づいたI.P.ゼンメルワイス(1847),J.リスター(1867)らによる制腐消毒法,ベルクマンErnst von Bergmann(1886)やシンメルブッシュCurt Schimmelbusch(1889)による無菌法,エスマルヒJohann Friedrich August von Esmarch(1823‐1908)による駆血帯の使用は,その後の外科手術を飛躍的に進歩させることとなった。すなわち,ランゲンベックBernhard Rudolf Conrad von Langenbeck(1810‐87)の子宮全摘出術,ティールシュCarl Thiersch(1822‐95)の植皮術,フォルクマンRichard von Volkmann(1830‐89)の直腸癌手術,ビルロートTheodor Billroth(1829‐94)の胃切除術の成功例が報告されるようになった。…

※「ベルクマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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