ペルテス病(読み)ペルテスびょう(英語表記)Perthes' disease

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ペルテス病
ペルテスびょう
Perthes' disease

若年期変形性骨軟骨炎。扁平股などの別称もある。大腿骨骨頭の血行障害によって壊死を起す。壊死は自然治癒するが,経過中に骨頭が外側に偏位する結果,放置しておくと内反股を生じ,将来的に変形性股関節症を起すこともある。男児に多く,5~10歳ぐらいまでに発症する。跛行しはじめることで発見されることが多い。症状としては,運動時に股関節,大腿,膝の軽い疼痛がある。股を開く外転と,下肢を内側にひねる内旋が十分にできない。 G.C.ペルテス (1869~1927) はドイツの外科医

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ペルテス病

国立病院機構三重病院の西山正紀医師(小児整形外科)によると、ペルテス病は5~8歳の子どもが発症することが多く、とりわけ小柄で、活発な男児が目立つ。大腿(だいたい)骨の血流が悪くなって骨頭が壊死(えし)するが、「原因はよくわかっていない」という。 治療期間は足の動きが制限されるため、2~3年にわたって日常生活に支障を来す。ところが身体障害者手帳交付を受けるには原則、「障害が永続すること」が条件。いずれ回復するペルテス病について、厚生労働省も「(交付を)受けづらい」と認める。

(2019-06-29 朝日新聞 夕刊 1社会)

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デジタル大辞泉の解説

ペルテス‐びょう〔‐ビヤウ〕【ペルテス病】

大腿骨(だいたいこつ)骨頭が壊死(えし)を起こし、扁平になる病気。腰の関節の痛み、跛行(はこう)などの症状がみられ、男児に多い。名はドイツの整形外科医ペルテス(G.C.Perthes)にちなむ。若年性変形性骨軟骨炎。

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家庭医学館の解説

ぺるてすびょう【ペルテス病 Perthes Disease】

[どんな病気か]
 大腿骨(だいたいこつ)(ももの大きくて長い骨)の上端の膨(ふく)らんだ部分を骨頭(こっとう)(大腿骨頭(だいたいこっとう))といいますが、なんらかの理由でこの部分の血行が悪くなり、腐っていく(壊死(えし)する)病気です。
 3~8歳の活発な、小がらな男の子に多くみられます。
[症状]
 脚(あし)を引きずって歩き(跛行(はこう))、股関節(こかんせつ)、大腿(太もも)、膝(ひざ)に痛みがおこります。股関節の動きも悪くなり、症状が進むと、悪いほうの脚は細く、短くなります。
 X線写真でみると、大腿骨頭が平たくつぶれたり、欠けたように変形しています。MRI検査は、子どもの関節軟骨の状態もよくわかり、ペルテス病の治療に役立ちます。
[治療]
 治療せずに放置し、体重をかけて歩いていると、壊死した骨頭はどんどんつぶれて、変形がひどくなります。
 しかし、ペルテス病では、発病後1年半くらいたつと、骨頭への血行が再び始まり、壊死した骨が自然にもとのように回復してきます。
 そこで治療としては、骨が正常な状態に回復されるまでの間、壊死したやわらかい骨頭が変形をしないように、体重を悪い脚にかけない(免荷(めんか))ことがたいせつになります。
 また、股関節の動きが悪いので、まず入院して脚を牽引(けんいん)し、動きがよくなったら、股関節の装具(西尾式)をつけて歩かせます。
 この装具は、股関節をやや開いた位置にして、骨頭を骨盤(こつばん)の受け皿(臼蓋(きゅうがい))の中にしっかり入れ込んでおき、さらに支柱で体重を支えて、股関節の負担を軽くするものです。
 装具の装着により、教室でいすに座ったり、松葉づえなしで走ったり、階段の昇降ができるようになります。また、サッカーなどもできるようになります。
 装具を装着している期間は約1年半で、装具をとった後、半年間は軽い運動や水泳、サイクリングなどを行なわせます。
 10歳以上の子どもで、骨頭の変形がひどく、股関節のはまり具合いが悪い(亜脱臼(あだっきゅう))ときは、大腿骨の骨切り術を行ないます。

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大辞林 第三版の解説

ペルテスびょう【ペルテス病】

大腿骨だいたいこつ骨頭の先端が壊死えしにおちいり、つぶされて扁平になる病気。跛行はこう、疼痛を伴い、外転・回旋運動が障害される。ドイツの外科医ペルテス(G. C. Perthes1869~1927)にちなむ名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ペルテス病
ぺるてすびょう

代表的な骨端炎の一つで、成長期にある小児股(こ)関節に発症し、大腿(だいたい)骨頭が無腐性の壊死(えし)をおこして扁平(へんぺい)になる疾患をいい、扁平股(こ)ともいう。1910年ドイツの整形外科医ペルテスGeorg Clemens Perthes(1869―1927)が若年性変形性骨軟骨炎として初めて記載したが、別に同年、アメリカのレッグとフランスのカルベも報告しており、レッグ‐カルベ‐ペルテス病Legg-Calv-Perthes diseaseともよばれる。
 徐々に発症してくる慢性疾患で、男児に多く3歳から12歳にわたってみられるが、4~7歳が好発年齢である。初発症状は股関節部や膝(しつ)関節部にみられる痛みと跛行(はこう)(足を引きずって歩く)であるが、成人の大腿骨頭壊死とは異なり、最終的には修復されて疼痛(とうつう)も消失する。しかし、放置すればいろいろな変性を残して変形性関節症の原因となる。他覚的には、股関節の外転と下肢を内側にひねる内旋が十分にできない。大腿骨頭にかかる負担を軽くする外転免荷装具などを1年前後つけ、その後1年くらい経過を観察する。なお、亜脱臼(だっきゅう)をおこしてくる予後の悪い症例に対しては大腿骨骨切り術などを行うこともある。[永井 隆]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ペルテス‐びょう ‥ビャウ【ペルテス病】

〘名〙 股関節部に鈍痛と疲労感を訴える病気。五~一二歳ぐらいの男児に多い。ドイツ人医師ペルテス(G. C. Perthes)によって報告された。

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六訂版 家庭医学大全科の解説

ペルテス病
ペルテスびょう
Perthes disease
(子どもの病気)

どんな病気か

 成長期に大腿骨頭(だいたいこっとう)骨化核(こっかかく)虚血性壊死(きょけつせいえし)を生じる病気です。3年程度の経過で最終的に骨壊死(こつえし)は自然治癒しますが、骨頭変形(こっとうへんけい)などによって股関節(こかんせつ)に永続する障害を残すことも多い病気です。

症状の現れ方

①発病の経緯

 明らかな外傷歴がなく、疼痛と歩き方の異常により発症します。疼痛は股部だけでなく、大腿、膝部(しつぶ)のこともあるので注意を要します。

②年齢・性別・左右差

 2~12歳にみられ、とくに4~8歳に多い病気です。男性に5~10倍ほど多く、両側例が10~20%にみられますが、左右で発症時期が異なることが一般的です。

③症状

 疼痛は軽度でその原因は関節水腫(すいしゅ)です。水腫は早期に自然消退し、それとともに疼痛も消えます。そのため発症に気づかず、病気が進行していることがあります。股関節の運動制限はとくに内側に捻る運動で強い傾向があります。

検査と診断

 病気の経過は滑膜炎期(こつまくえんき)硬化期(こうかき)分節期(ぶんせつき)、修復期に分けられ、それぞれに特有のX線像を示します。MRI、骨シンチグラフィも初期の診断には有用です。血液検査は一般に正常です。X線所見が正常化するには約3年を要します。単純性股関節炎(たんじゅんせいこかんせつえん)大腿骨頭すべり症膠原病(こうげんびょう)などとの鑑別が必要です。

治療の方法

 骨頭変形を生じることなく自然治癒させることが目標となります。一般に低年齢で発症した症例、骨化核の外側の高さが経過を通じて維持されている症例は予後が良好です。

①保存的治療

 疼痛が強く、股関節可動域(かどういき)制限がみられる時期は入院して牽引(けんいん)療法を行います。その後、通院での装具療法に移行します。装具療法の目的は負荷を避けることと臼蓋(きゅうがい)による大腿骨頭の包み込みで、少なくとも1年は継続する必要があります。

②手術療法

 修復が停滞した時に手術の適応があります。高年齢で発症した患者さんで必要になることが多い傾向があります。

川端 秀彦

ペルテス病
ペルテスびょう
Perthes' disease
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 小児期に、股関節内の大腿骨頭(だいたいこつとう)(大腿骨の骨盤側、球形のため骨頭と呼ばれる)部の骨端核(こつたんかく)(成長軟骨部)が障害される病気です(図61)。股関節痛のため歩行が困難になったり、跛行(はこう)(歩く様子に異常を認めること。左右の下肢長が異なること、痛み、筋力低下などが原因で起こる)を生じます。

 骨端症の一種で、同じ部位に発生する成人の大腿骨頭壊死(えし)症と異なり、小児の旺盛な修復機転により骨成長期を通じて大腿骨頭は修復されます。病変部の大小により治癒の程度に差を生じます。

 1910年にレッグ(米)、カルベ(フランス)、ペルテス(ドイツ)が、別々にこの病気について報告しています。国によって呼び名が異なり、正式にはレッグ­カルベ­ペルテス病(L­C­P病)と呼ばれますが、日本では慣用的にペルテス病と呼ばれています。

原因は何か

 大腿骨頭骨端核(成長部)の血流障害と考えられていますが、血流障害が発生する原因は不明です。骨端症のなかでは最も頻度が高く、3~4歳から10代前半までの広い年代に発生します。男子に多くみられます。

症状の現れ方

 股関節の痛みや運動の制限、跛行を生じます。ペルテス病は股関節の病気ですが、はじめは膝関節に痛みを訴えることが多いとされています。膝痛(しつつう)に目を奪われ、股関節疾患の診断に長期間かかることがめずらしくなく、小児では膝の痛みを訴えても股関節の診察が必須です。

検査と診断

 膝関節に疼痛を訴えても、股関節の動きの制限がないかどうかを正しく診察し、股関節異常の有無をチェックすべきです。疑わしい時は股関節の画像診断に進みます。初期で骨端核の破壊が進んでいない場合は、正常か異常かの判断が困難な場合があります。骨端核の成長は個人差もあるので、左右ともX線写真を撮影して比較することが重要です。また、疑わしい症状が続く場合には、時期をおいてX線撮影を行う必要があります。

 MRI検査は、初期から股関節の異常の有無を確認できる有用な方法です。

治療の方法

 ペルテス病が変形なく正常に治るか否かは、発症年齢と障害部位の大きさが深く関係します。年齢では、低年齢すなわち小学生低学年以前の発症は治りやすく、大きくなって発症した場合、とくに10歳以降の発症は変形を残すことが多いとされています。また、骨端核の障害部位が大きい場合は治るまでの期間が長く、変形を残す率が高くなります。

 一般に、成長期に発症するため修復傾向が強い病気ですが、発症年齢が高い場合や、骨端核の障害が広く全体に及ぶ場合は変形を残すことがあり、注意が必要です。特別な装具を装着したり、松葉杖を使って免荷(めんか)(体重をかけない)歩行することもあります。骨端症は治るまでに長期間かかることが多く、ペルテス病の場合には安定した修復状態に達するまで数年を要することもあります。生涯にわたる股関節の変形を防止するため、小児施設病院に入院させて長期間ギプスを巻く治療や、治療期間を短縮させるために手術的治療を行うこともあります。

柳本 繁


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典内のペルテス病の言及

【虚血性骨壊死】より

…原因不明のものは特発性骨壊死idiopathic necrosisと呼ばれる。これには成人の特発性大腿骨頭壊死,ペルテス病(小児大腿骨頭壊死),膝特発性壊死(高齢者大腿骨内顆関節面の病変),キーンベック病(成人月状骨壊死),ケーラー病(小児の足の舟状骨病変),フライバーグ病(第2ケーラー病ともいわれ,思春期の第2中足骨頭の病変)などがある。成人の特発性大腿骨頭壊死は1960年以降症例が急増し,アルコール愛飲,肝臓障害との関連が検討されている。…

※「ペルテス病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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