ボイオティア(その他表記)Voiotía

デジタル大辞泉 「ボイオティア」の意味・読み・例文・類語

ボイオティア(Voiotia)

ギリシャ中部の地方中心都市レバディア。前447年にテーベを中心に都市同盟ボイオティア同盟結成

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改訂新版 世界大百科事典 「ボイオティア」の意味・わかりやすい解説

ボイオティア
Voiotía

中部ギリシアの一地方。古代ギリシア語ではBoiōtia,ラテン語ではBoeotia。アッティカの北方に位置し,北東と南西でエウボイア海峡とコリントス湾とに面する。ミュケナイ時代にはオルコメノス,グラ,テーバイを中心に繁栄したが,その後は長い海岸線と良港とに恵まれて海上交易に適し,ギリシアの南北を結ぶ交通路はすべてこの地を通るという地理的条件にもかかわらず,わずかの期間を除いて,ギリシア世界で覇権を取ることはなかった。《イーリアス》の軍船表には29のボイオティアの都市が挙げられているが,古典期の独立ポリスは約12を数えた。古代ではボイオティア人は粗野で無教養と評されていた。ボイオティアにおける戦闘の中で,侵入ペルシア軍をギリシアから撃退した前479年のプラタイアイの戦,テーバイがスパルタ軍を破り,9年間ギリシア世界の覇者となった前371年のレウクトラの戦,マケドニアの勝利によってギリシア・ポリスの民主政が実質的に失われた前338年のカイロネイアの戦は特に重要である。ほぼ中央部のコパイス湖はギリシア最大の湖であったが,古代からたびたび干拓が試みられ,1931年イギリスによって実現されて牧草地となり,穀物,綿花栽培が行われている。現在は一県をなし,主要都市はティーバ(テーベ),レバディア。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボイオティア」の意味・わかりやすい解説

ボイオティア
ぼいおてぃあ
Voiotia

ギリシア中部の一地方。英語ではBoeotia(発音はビオーシア)と綴(つづ)る。現在は一県をなし、古代ギリシアにおいて重要な役割を果たした地域と現在の県域はほぼ一致する。県は面積2952平方キロメートル、人口13万3100(2003推計)。県都レバディアLevádhia。南はコリント湾、北東はエウボイア湾に面し、南東はアッティカ、北西はフォティオティス、西はフォキスの各地方と接する。ヘリコン山系(最高峰1748メートル)によって二つの平野に分かれる。穀物、綿糸、高品質の家畜の産地。

[真下とも子]

歴史

旧石器時代からの住居跡が確認されている。ミケーネ時代にはテーベとオルコメノスに王宮があった。ホメロス叙事詩には独立した29の都市があげられている。紀元前6世紀にできた都市同盟は、テーベ主導のもとにペルシア戦争後拡大再編された。ペロポネソス戦争中はスパルタ側にくみし、コリント戦争時には敵対した。「アンタルキダスの条約」(前386)時に解体されたのち、前370年代に再建されたボイオティア同盟は、最高官職ボイオタルコスBoeotarchos7名のうち4名を占めたテーベの主導権をいっそう強めた。カイロネイアの戦いでの敗戦アレクサンドロス大王のテーベ破壊(前335)後、ボイオティアは急速に衰退し、ローマ時代には都市といえるものはタナグラとテスピアイだけといわれた。

[古川堅治]

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百科事典マイペディア 「ボイオティア」の意味・わかりやすい解説

ボイオティア

ギリシア中部の地方。エウボイア湾,コリントス湾に囲まれ,比較的平たんで農牧業が盛ん。東部はアテネ工業地帯の分散化により工業化が急速に進んでいる。古くから文化が起こり,前6世紀以降テーバイ(テーベ)を盟主とするボイオティア同盟が成立し,前4世紀ごろ最盛期であった。現在は一県をなし,県都レバディアとテーベが主要都市。2952km2。13万1085人(2001)。
→関連項目オルコメノスカイロネイアの戦コリンナ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ボイオティア」の解説

ボイオティア
Boiotia

中部ギリシアの一地方。コパイス湖を中心に先史時代の遺跡に富む。ボイオティア連盟の歴史は前6世紀末に始まるが,テーベが勢力を誇った前4世紀が政治的に最も盛んであった。

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世界大百科事典(旧版)内のボイオティアの言及

【カドモス】より

…姉妹のエウロペがゼウスに誘拐されたとき,彼は父王から,彼女を見つけるまでは帰国を禁ずという厳命のもとに,その捜索に出されてギリシアに来た。しかし捜索はむなしく終わったために帰国を断念し,デルフォイの神託の指示どおり,アポロン神殿の近くで見かけた牝牛につき従ってボイオティア(〈牝牛の国〉の意)に着き,牛が体を横たえた地点にカドメイア(のちのテーバイ市の城塞)を建設した。この際,犠牲式に必要な水を汲むべく,軍神アレスの泉を守っていた竜を退治したが,女神アテナの勧めでその歯を地にまくと,たちまち多数の軍兵が出現した。…

※「ボイオティア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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