0および自然数全体のうえに分布している離散型確率分布の典型的な例である。正定数λをとり,kには確率,を置いたとき,分布p(k;λ)(k≧0)をポアソン分布という。この分布では平均値も分散もともにλである。また著しい特徴として,ガウス分布と同様にその再生性があげられる。X1,X2を互いに独立で,それぞれ平均値λ1,λ2をもつポアソン分布に従う確率変数とすれば,和X1+X2の分布もポアソン分布p(k;λ1+λ2)(k≧0)である。
成功する確率がpの試行をn回独立に試みて得られる二項分布b(k;n,p)(0≦k≦n)も,nが大きくてpが小さく,np=λがふつうの大きさのときはポアソン分布で近似される。すなわち,kがあまり大きくないときb(k;n,p)≈p(k;λ)。さらに,ポアソン分布があらわれる具体例としては,一定時間内の電話のコールや交通事故,放射性物質の崩壊などがある。いずれも時間帯を重なり合わない小時間区間に分けたとき,各区間での現象の生起が独立になるような場合である。
執筆者:飛田 武幸
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λ>0として
と置けば、pk>0,p0+p1+p2+……=1であるから、{pk}は確率分布(離散型)である。この確率分布をポアソン分布といい、P(λ)で表す。一定期間における事故の発生件数、放射性物質から一定時間内に放射される粒子の数、その他ポアソン分布で表される多くの例がある。まれにおこる現象の生起回数の分布がポアソン分布で近似されることは、次のように説明される。すなわち、確率pの事象がn回の繰り返しのうちにちょうどk回おこる確率pkは
pk=nCkpk(1-p)n-k (k=0,1,……,n)
で与えられるが、もしpが小さく、nが大きく、λ=npが大きくも小さくもないとすると、前記のpkに対して次の近似式
が成り立つのである。
ポアソン分布P(λ)を折れ線グラフで表すと次のようになる。λが整数であれば、pkはk<λ-1のとき単調増加で、k=λ-1,k=λのとき最大値をとり、k>λで単調減少である。λが整数でなければpkは
k<[λ]=(λの整数部分)
で単調増加で、k=[λ]で最大値をとり、k>[λ]で単調に減少する。ポアソン分布P(λ)の平均値はλ、分散もλに等しい。母関数はeλ(t-1)であり、特性関数はexp(λ(eit-1))である。
[古屋 茂]
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…これは成功する確率がpであるn回のベルヌーイ試行における成功する回数の分布である。(2)ポアソン分布 Xは0,1,2,……の値をとり,のとき,この分布がポアソン分布である。実例としては,電話のコールの回数とか放射性物質の崩壊など一定時間区間内に起こる回数の分布がある。…
※「ポアソン分布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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