フランスの数学者、物理学者。ピティビエに生まれ、理工科大学校(エコール・ポリテクニク)に学んだ。在学中、ラグランジュ、ラプラスらに才能を認められ、卒業後、母校の代理教授となり、1806年にはフーリエの後任として教授に就任。1809年、新設のパリ大学理学部教授となった。数学、応用数学の広い分野にわたって業績があり、定積分・微分方程式論を研究し、ポテンシャル概念を導入(1813)したが、これと関連して「ポアソン方程式」はよく知られている。そのほか変分法やフーリエ級数、「ポアソン分布」などで知られる確率論に大きな業績をあげた。数学の物理学への応用面での熱学、毛管現象、電磁場論、引力論などの研究もあり、弾性の実験では「ポアソン比」を導入している。アカデミー会員で、のち上院議員も務めた。主著『力学概説』Traité de mécanique(1811)をはじめ、300以上の著書、論文がある。
[藤村 淳]
フランスの数学者,物理学者。ロアレ県ピティビエールに生まれる。父はそこの行政官であった。1798年パリに出て,エコール・ポリテクニクに入学したが,特別な優等生であったため最終試験は免除され,1800年には解析学の助手に任命されたほどであった。そのときすでに消去法と定差方程式についての論文を発表していた。06年にはJ.B.J.フーリエの跡をついで正教授になった。08年経度局の天文学者,フランス学士院のメンバー,ブルボン王政復古後の16年にはパリ大学理学部の力学教授など,40年4月25日没するまで栄光の地位を保って,生涯を数学,数理物理学の研究と教育に捧げた。幅広い研究業績があり,数学では定積分,フーリエ級数の理論,物理学の分野では電気磁気の理論やP.S.ラプラスの跡をうけた天体力学の研究は有名で,著書《力学講義》(1811)は長らく教科書として使われた。晩年の仕事は確率統計に集中しており,犯罪事象判断の確率,彼の名を冠した分布,小数の法則などはよく知られている。
執筆者:飛田 武幸
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…これ以後,与えられた電荷の分布から,その周囲に及ぼされる電気力を計算することが大きな課題となった。この方面でとくに大きな成果をあげたのはS.D.ポアソンである。彼は1770年代からJ.L.ラグランジュ,P.S.ラプラスが展開していたポテンシャルの概念を一般化し,当時かなり高度の発達を見ていた解析学を駆使して静電気学の基礎をあらかたきずいてしまった。…
…等方性の物質に,一つの方向の伸びの応力を加えると,その方向に伸びのひずみεを生ずるとともに,それに垂直な方向には逆方向(縮み)のひずみε′を生ずる。このときν=|ε′/ε|をポアソン比と呼ぶ。圧縮の応力を加えたときも同様に定義される。…
※「ポアソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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