ポッパー(英語表記)Karl Raimund Popper

デジタル大辞泉 「ポッパー」の意味・読み・例文・類語

ポッパー(Karl Raimund Popper)

[1902~1994]オーストリア生まれの英国哲学者科学方法論を「反証可能性」の理論によって展開。また、漸次的な社会工学理念を提起した。著「科学的発見の論理」「歴史主義貧困」など。ポパー

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精選版 日本国語大辞典 「ポッパー」の意味・読み・例文・類語

ポッパー

  1. ポパー

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改訂新版 世界大百科事典 「ポッパー」の意味・わかりやすい解説

ポッパー
Karl Raimund Popper
生没年:1902-94

ウィーン生れのイギリスの哲学者,思想家。ウィーン大学に学んだが師M.シュリックの主宰するウィーン学団の論理実証主義を批判し,処女作《探求の論理》(1934,英語増補版《科学的発見の論理》1958)で反証主義を唱え,その後の科学哲学の発展に大きな影響を与えた。ナチスを逃れてニュージーランドに亡命し,20世紀における社会思想史の最大傑作の一つと評される《開かれた社会とその敵》(1945)を書き,プラトン,ヘーゲルマルクスの批判を通じて全体主義権威主義論駁(ろんばく)するとともに,民主主義に再検討を加え科学的社会変革論として漸次的社会工学piecemeal social engineeringを主張した。1945年イギリスに帰化し,ロンドン大学の教授となり,65年にはナイトの爵位(サーの称号)を授与された。批判的合理主義の立場をとる彼の科学方法論は,J.C.エクルズ,J.L.モノ,K.Z.ローレンツなどノーベル賞学者たちに支持されている。自伝《果てしなき探求》(1974)がある。
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百科事典マイペディア 「ポッパー」の意味・わかりやすい解説

ポッパー

オーストリア出身の英国の哲学者。ウィーン大学に学び,1945年ロンドンに移る。批判的合理主義を唱え,科学哲学,科学方法論に革新をもたらしたほか,《開かれた社会とその敵》(1945年),《歴史主義の貧困》(1957年)などによる全体主義・権威主義批判でも知られる。
→関連項目ハーバーマス歴史主義

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポッパー」の意味・わかりやすい解説

ポッパー
Popper, David

[生]1843.6.16. プラハ
[没]1913.8.7. ウィーン近郊バーデン
オーストリアの作曲家,チェロ奏者。 J.ゴルターマンに学ぶ。 1868~73年ウィーン宮廷歌劇場のコンサートマスター。 96年ブダペスト音楽院の教授に就任。4曲のチェロ協奏曲ほかの作品がある。

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世界大百科事典(旧版)内のポッパーの言及

【科学】より

…科学がある独特の方法に支えられていると考えられている間は,科学は科学以外の知的領域から区別される特別な身分を担っていた。かつてその特別な方法として,データからの帰納主義(F.ベーコン,およびその後多くの変形版がある),あるいは反証主義(K.R.ポッパー)などが挙げられていた。しかし科学方法論が展開するにつれて,科学の現場で起こっていることのすべてにつねに妥当するような特定の方法論は存在しないという点が明らかになった。…

【科学哲学】より

…さらに,現代諸科学は単に帰納法によって構築されると見ることは不可能であり,たとえば,物理諸科学に見られるように数学を含む演繹的方法の役割が大きく介入し,〈仮説演繹法〉が科学方法論の基本的形態であると一般に評価されるようになった。これに関連して,ポッパーの〈反証可能性理論〉による帰納の否定の議論は注目に値する。また,これら議論に伴って,科学法則や科学的説明の本性をめぐって多くの新説が現れた。…

【実証主義】より

…天与の自然法という考えを排して現実の実定法だけを研究対象にする法実証主義はこの流れをくむものであり,調査によって得られた事実的資料に基づいて理論をつくるという今日の社会科学における方法論もこれに立脚している。このように実証主義は個々の事実の収集から一般理論の形成に進む帰納主義的立場をとるが,ポッパーは事実の観察や収集がそれ自身すでに一定の観点と仮説に基づいたものであって,個々の事実の集積から一般理論は生まれず,また理論は個々の事実によって確証されないことを論理的に明らかにして実証主義に鋭い批判を加えた。【森 博】。…

【社会工学】より

…そのため社会工学は,複数主体の価値判断の多様性や相克性のなかで制御の目的群をどう設定すべきかという点において,また,制御の客体自身が主体性をもち,抵抗や修正要求を行うことによって制御の実効性がそこなわれる点において,さらに,どのような支配構造のなかで制御努力が行われているのかについて無批判的である点において,その限界性を示す。 思想史的にみるならば,K.R.ポッパーの提唱した〈漸次的社会技術piecemeal social engineering〉の理念を,科学的知識に基づいた社会の制御という面から,社会工学的実践の一つの源流と考えることができる。だがポッパーの理念の真髄が,自分自身の認識や判断の能力に対する自己懐疑的・自己批判的姿勢と,起こりうる過誤に対する慎重な警戒にあることを考えれば,現実に行われてきた社会工学的実践とポッパーとの間には,その精神においてしばしば大きな距離がある。…

【歴史主義】より

…したがって,コントやスペンサーのような単一的歴史発展論やマルクス的唯物史観のような歴史を貫く法則や類型の探求とは相反し,それぞれの時代と文化とはそれなりの価値をもちどれも絶対的とはいえないという相対主義に陥ることになり,これが歴史主義の危機を招いた。K.R.ポッパーは歴史主義と歴史法則主義とを含めて〈ヒストリシズムhistoricism〉と呼び,この両者がいずれも論理的に成り立たないことを論証した《歴史主義の貧困》(1957)を書いて徹底的批判を試みたが,これに対する反批判もさまざまであり,歴史主義の問題は今日なお未解決である。【森 博】。…

※「ポッパー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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