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科学哲学 かがくてつがくphilosophy of science

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

科学哲学
かがくてつがく
philosophy of science

広義には科学についての哲学的考察の意であるが,狭義には現代欧米の分析哲学における科学論をいう。前者は,近世以降,F.ベーコン,R.デカルトに端を発し,18世紀にはイギリスの伝統的な経験論,カントによる科学の批判的方法論 (→批判哲学 ) ,フランスの唯物論などがあげられるが,19世紀になると,マルクス主義の立場からの社会科学方法論,マッハらによる不可知論的な経験批判論,新カント派の W.ウィンデルバント,H.リッケルト,E.カッシーラーによる自然科学的認識の方法論が輩出した。後者は 1923年頃哲学者 M.シュリックを中心としたウィーン学団,28年設立のマッハ協会などの統一科学運動を先駆として,科学論理学,論理実証主義の立場からの科学哲学の運動が展開されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

かがくてつがく【科学哲学 philosophy of science】

科学に対する哲学的考察,あるいはその哲学的基礎づけの作業の総称。また,内容的に,あるいは方法論的に科学に接近した哲学傾向一般を指す場合もある。
歴史的背景]
 科学哲学の歴史は,哲学の歴史とともに古い。そもそも,古代ギリシアにおいて哲学が始まったとき,それは〈アルケー万物根源〉を問うものとして現れたものであり,それは直ちに,科学そのものの課題の起点でもあったと考えられる。その意味で,哲学は元来広義の科学哲学として開始されたとも言いうる。

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大辞林 第三版の解説

かがくてつがく【科学哲学】

自然科学を主要な手がかりにして行われる、科学的知識の基礎論・方法論・批判などの哲学的営み。狭義にはウィーン学派以降の論理分析を方法とする哲学を指す。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

科学哲学
かがくてつがく
philosophy of science

科学についての哲学的考察を意味する。一般に、「哲学的」という語は多義的であり、それに応じて「科学哲学」という語も多義的になる。しかしそれは広義には、(1)科学といわれるもの、あるいは科学者の営みを客観的に観察し、分析し、記述し、(2)科学がとるべき方法を提案し、(3)科学のあるべき姿を求める、といった知的努力を意味する。
 (1)のうち、とくに科学といわれるものを客観的に観察し、分析し、記述する部分は、「メタ科学」meta-scienceともいわれ、基本的には、科学で用いられている概念、法則、理論、およびそこで使われている数学や論理学についての、論理的・記述的分析が、そのおもな仕事となる。この部分は、いわば科学の本体の解明であり、科学哲学の中心をなす。これに対し、科学者の営みを客観的に観察し、分析し、記述する部分は、科学者が科学を発想し、構成し、展開し、検証ないし反証し、さらには、科学を用いて事象や法則を説明し、予測する営みについての、論理的・記述的分析が、そのおもな仕事となる。
 (2)は、いわゆる「科学方法論」methodology of scienceといわれる分野であり、とくに、科学を構成し展開していくためにとるべき方法を提案することが、そのおもな仕事である。科学といわれるものを広く客観的知識ととるならば、この分野には、アリストテレスの昔からの連綿とした歴史があり、とくに有名なのは、J・S・ミルの「帰納法」、論理実証主義の「仮説演繹(えんえき)法」、ポパーの「反証主義」、クーンやファイヤアーベントP. K. Feyerabend(1924―94)らによる「反帰納法」などである。
 (3)は、科学を人類史の流れのなかに置いて見直し、人類の幸福のためにそのあるべき姿を求めようとするものであり、「科学論」といわれるものの多くは、これにかかわっている。
 したがって科学哲学とは、結局、科学自体から一歩離れて、科学ないし科学者の営みを客観的に眺め、それらの現実の姿およびあるべき姿を求める知的努力である、といえよう。しかし、実は、このような科学哲学には別のねらいもある。それは、科学の限界を自覚し、それによって、科学にまつわる誤解を解くことである。科学というものを、いかなる事象をも取り扱える一つの確固とした学問体系である、とみなすことは誤解である。科学は、それほど万能ではなく、また確固としてもいない。また、科学が与える世界像こそ客観的世界の真の姿である、と考えるのも誤解である。科学は、科学的方法といわれる一定の方法に基づいた探究の結果であって、それによって切り捨てられた部分も多いことを、肝に銘じておくべきである。これらのことを教えてくれる科学哲学は、それゆえ、科学者に対してのみならず、今日のわれわれ一般にとっても、きわめて大きな意味がある。[黒崎 宏]
『カール・G・ヘンペル著、黒崎宏訳『自然科学の哲学』(1967・培風館) ▽村上陽一郎著『科学のダイナミックス』(1980・サイエンス社)』

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世界大百科事典内の科学哲学の言及

【自然哲学】より

…19世紀以来,人間の自然本性における理性以外の非合理的なもの,とくに欲求,意欲,意志への自覚に伴い,自然はもはや単に知性による解明の対象としてだけではなく,主体の意欲,意志の実現のための環境,資源,素材と解されて今日に至る。現代の自然哲学は,一方では自然科学の哲学であり,自然諸科学の提示する自然的諸世界像の統合の可能性,自然科学的認識の諸前提と意味とをめぐる考察として,科学哲学の一項をなす。他方,人間の歴史,文化,社会の基盤,母体,原所与としての自然的世界は,人間の無際限な好奇心,欲求,意欲,意志と知性とに対して,どこまでも従順であるか否か,自然の自然本性と自然の一部分である人間の自然本性との間の真の調和とは何であるべきか,このような根本問題に答える必要が生じている。…

※「科学哲学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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