翻訳|micrometer
ねじの送り量が回転角度に比例することを利用した長さ測定器。スピンドルのねじのピッチをp,回転角度をαとすれば,スピンドルの軸方向の移動量xは,
x=α・p/2π
また目盛面の半径をrとすれば,目盛の移動量yは,
y=rα=2πrx/p
である。したがって,拡大率はy/x=2πr/pである。pを小さくし,rを大きくすれば,拡大率は大きくなる。一般のマイクロメーターのねじのピッチは0.5mm,目量(1目の読み)は0.01mmで,目盛面の半径は約8mmであるから拡大率は約95である。目盛面の半径を大きくしたり,バーニヤを用いて目量を2μm,1μmにしたものがある。マイクロメーターは使用目的により,球形測定面をもつマイクロメーターヘッド,外側寸法を測る外側マイクロメーター,内側寸法を測る内側マイクロメーター,歯車の厚さを測る歯厚マイクロメーター,みぞや穴の深さを測るデプスマイクロメーターなどがある。
図1は外側マイクロメーターで,フレームの一方にねじスピンドルをもち,他方にアンビルが取り付けられている。スピンドルとアンビルの測定面間に測定物を一定の力ではさみ,スリーブとシンブルの目盛によって測定する。測定範囲は25mmとびで,最大のものは500mmまである。総合誤差は100mmのものは±5μm,500mmのものは±13μmである。マイクロメーターヘッドは外側マイクロメーターのフレームを取り除いたもので,各種の精密送り装置や位置決め装置に用いられる。図2は単体型の棒型内側マイクロメーターである。胴体の一方に球形測定面をもったマイクロメーターヘッド,他方に球形測定面をもった調整アンビルがある。総合誤差は外側マイクロメーターとほぼ同じである。外側マイクロメーター,内側マイクロメーター,マイクロメーターヘッドともJISに性能などが規定されている。
執筆者:横山 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
精密に加工されたねじの送り量を基準に、その量がねじの回転角に比例することを利用した、寸法測定器である。現在普及しているマイクロメーターは、数十種類に及んでおり、これらを用途別に分類すると、外側寸法測定用、内側寸法測定用、深さ測定用、ねじ径や歯車の歯厚測定などの個別機械要素測定用に分けられる。また特殊な用途としては、鋼板、合成樹脂、ゴム、紙などの厚さ測定用、円筒工作物の肉厚測定用、スプラインの溝径測定用などがあげられる。これらに加えて、弾性変形しやすい工作物測定のために測定圧を小さくしたものなど、多種多様なマイクロメーターが製品化されている。
精度的には、ノギスより1桁(けた)高精度な測定が可能で、一般的には、0.001ミリメートル(1マイクロメートル)の読み取りが可能である。外径測定用では、測定範囲は限られるが、最大1000ミリメートルまで測定可能なものもある。ノギスと同様、読み取りを容易にするため、ダイヤルゲージ付きのものや、デジタル表示が可能なものも存在している。また、測定データの出力端子を備え、マイクロコンピュータと接続し、測定データを統計的に処理することにより、高度な計測システムや工程管理システムを構成できるようになっているものもある。
マイクロメーターといえば、以上のような絶対寸法を直接測定するものをさすが、標準ゲージとの比較測定方式により寸法測定を行うマイクロメーターとして、空気マイクロメーター、電気マイクロメーターなどが存在している。
[清水伸二]
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