本尺目盛とバーニヤ目盛を組み合わせ,本尺目盛の読取りを正確にした構造の測長器には,ノギス,ハイトゲージ,デプスゲージなどがある。ノギスはフランス人ベルニエPierre Vernier(1580-1637)によって発明された。ノギスの名称はバーニヤ目盛の方法を発明したポルトガルの数学者ノニウスPetrus Nonius(1492-1577)からきたものといわれている。JISに規定されているノギスは最小読取値が0.1mm,0.05mm,0.02mmで,外側寸法および内側寸法が測定できる。最大測定長は1mのものがある。構造によりM形とCM形がある。図1は深さ測定ができるM形の構造と主要部の名称を示している。スライダーは本尺に組み込まれ,滑らかに移動することができる。本尺とスライダーの外側用測定面が合致したとき,本尺とバーニヤの0目盛が一致するように調整されている。また,内側用測定面,深さ測定用のデプスバーと本尺の端面も合致する。ノギスの総合誤差は測定長が150mmのもので,最小読取値0.05mmのものは±0.08mm,0.02mmのものは±0.05mmである。ハイトゲージheight gaugeはトースカンと直尺を一体にした構造のもので,高さの測定やけがきに用いられる。図2はJISに規定されているHB形ハイトゲージである。軽量で測定に適し,スライダーが箱形でバーニヤが調整できる構造である。最大測定長は1mのものがある。最小読取値や総合誤差はノギスとほぼ同様である。ハイトゲージは平面度のよい定盤上で使用される。定盤面とスクライバーの測定面との高さが本尺とバーニヤで読み取れるようになっている。スクライバーの先端には硬い摩粍の少ない超硬合金がつけられ,その刃先はけがき用として鋭くなっている。高さ測定は測定物とスクライバーの測定面とを軽く接触させ,ハイトゲージの目盛を読み取る。けがきの場合は,所定の寸法にハイトゲージの目盛をあわせ,スライダーの止めねじをしっかり締めつけてからけがく。デプスゲージvernier depth gaugeは穴,みぞ,くぼみの深さなどの測定に用いるものである。図3はJISに規定されているDM形デプスゲージである。最大測定長が300mmのものがある。最小読取値や総合誤差はノギスとほぼ同様である。バーニヤの測定面と本尺の測定面とが同一平面にあるとき,本尺とバーニヤ目盛の0目盛が一致するようになっている。使用方法は,測定物の基準面とバーニヤの測定面を確実に接触させ,本尺の測定面が穴の測定面に軽く接するまで本尺を滑らせて,目盛を読み取る。
執筆者:横山 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
工作物の外側あるいは内側寸法を目盛り尺とバーニヤ(副尺)を用いて簡単に測る測定工具。当初は、単に物を挟んで概略の外側寸法を知る程度であったものを、ポルトガルの数学者ペドロ・ヌネシュPedro Nunes(ラテン語表記ペトルス・ノニウスPetrus Nonius。1502―1578)が目盛りをつけたといわれている。日本では、ノニウスがなまってノギスとよばれるようになった。バーニヤの名は、副尺を考案してノギスを正確な読取りができる構造にしたフランスの数学者ピエール・バーニヤPierre Vernier(1580―1637)に由来する。使用法が簡単なため、機械工場などにおいて広く使用されている。標準M型ノギスはデプス付きノギスともいわれ、高さ、深さの測定もできる。普通用いられているノギスは、本尺の一目盛りが1ミリメートルで、副尺を併用することにより読み取ることのできる最小寸法は0.05ミリメートルである。このほかに最小読み取り寸法が0.02ミリメートルのものもある。また、測定値を読み取りやすくし、個人差をなくすため、ダイヤルゲージと連動させたものや、リニアスケールを内蔵し、測定値をデジタル表示できるものもある。デジタル表示する場合は、0.01ミリメートルまでの表示が可能になっている。ノギスの測定精度は目盛りおよびバーニヤの良否、その案内、被測定物を挟む外側測定面となるジョウの平面度と平行度ならびにその案内に対する直角度などに関係する。
[清水伸二]
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