日本大百科全書(ニッポニカ) 「マヨネーズソース」の意味・わかりやすい解説
マヨネーズソース
まよねーずそーす
mayonnaise sauce
単にマヨネーズともいう。卵黄の乳化を安定させる性質を利用して、酢とサラダ油(オリーブ油、綿実油、コーン油など)を乳化してつくるクリーム状の調味料。語源については、1756年フランス軍がスペインのミノルカ島の首都マオンを占領した際、この地のソースを持ち帰り、フランスに広まってマヨネーズソースの名になったという説がある。そのほか、フランスの古語の卵黄モアユーmoyeuに由来するとか、操作する意のマニアンmanienの語から出たともいわれ、いずれにしても18世紀には完成していたとされている。酢と油をいかに安定させるかは「かき混ぜ方」にかかっているといっても過言ではない。最新設備の大工場で、製造から包装まで機械によるオートメーション仕上げで、瓶入りやポリ容器入りのものが広く一般家庭に普及しているが、手近の道具と材料で次のようにつくることができる。
新鮮な卵黄1個をスープ皿に入れ、塩、砂糖、からし各小さじ2分の1、こしょう少々、酢小さじ1をあわせて泡立て器でよくかき混ぜる。サラダ油150~180ミリリットルのうち大さじ1杯分を、絶えずかき混ぜているところへ入れる。油がすっかり吸収されたところへ、次の大さじ1杯分を3回に分けて十分混ぜながら加える。混ぜ物がぽってりと固まってきたら、酢小さじ1を加えてのばす。残りのサラダ油は、混ぜているところへ少量ずつ加え、滑らかになったら次を入れるようにしながら全部加え、最後に味見をして不足を補う。できあがりはやや固めなので、牛乳でのばして用いる。マヨネーズソースは卵黄とサラダ油からなり、栄養価は高く消化しやすい形になっているが、単独で食することはなく、ソースとして持ち味の淡泊な動植物性の料理に添えて供される。冷製料理の飾り用のタルタルソース(タマネギ、ピクルス、ゆで卵、パセリのみじん切りをマヨネーズソースにあわせる)は、蒸魚料理、フライ料理に用いる。クリームマヨネーズソース(生クリームを3分の1量加えたもの)はフルーツサラダに、ラビコット(グリーンマヨネーズソース)は緑葉野菜で色付けしてつくり、白身魚の蒸し煮にかけるなど、マヨネーズソースの応用として利用される。
[小林文子]
構造と成分
マヨネーズの乳化には、乳化剤として卵黄中のレシチンが大きな役割を果たしている。マヨネーズはo/w(水中油滴)型の乳化であるが、とくに水(酢)が油の量に比べてたいへん少ない特殊な乳化例である。マヨネーズの乳化は、油の粒子の外側を、乳化剤を仲立ちとして酢が取り巻いた形をしている。酢が粒子の外側にあるので保存性があり、また、レモン汁などで薄めることができる。
油を多量に使用しているため、エネルギーが高く、大さじ1杯で約100キロカロリーある。一方、塩分は2%前後と低いので、適量を用いれば塩分のとりすぎにはならない。また、油が乳化しているので消化がよい。
[河野友美・山口米子]
『今井忠平著『マヨネーズ・ドレッシング入門』増補改訂版(1990・日本食糧新聞社)』▽『今井忠平著『マヨネーズ・ドレッシングの知識』(1993・幸書房)』