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マラー Marat, Jean-Paul

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マラー
Marat, Jean-Paul

[生]1743.5.24. ヌーシャテル,ブードゥリ
[没]1793.7.13. パリ
フランス革命指導者の一人。ボルドー,パリ,ロンドンで医学を研究し,医師としての名声をうたわれ,帰国後の 1777~83年アルトア伯 (のちの国王シャルル 10世) の護衛付きの医師となった。この期間中,科学,哲学に関する論文数編を発表,特に光学に関する研究は注目を集めた。 89年革命が勃発すると,政治記者となり『人民の友』 Ami du Peuple紙を創刊,反革命派を激しく攻撃した。コルドリエ・クラブに所属してサン=キュロットの代弁の役をつとめ,92年8月 10日の王権停止,続く九月虐殺事件に最大の役割を果し,パリ選出の国民公会議員となった。 93年1月国王ルイ 16世の死刑に賛成票を投じ,革命裁判所と公安委員会の設立に賛同。この頃よりジロンド派と意見が対立し,『フランス共和国新聞』 Journal de la République Française (1792年9月 21日に『人民の友』を改称) 紙上で辛辣な批判を加えたため,国民公会におけるジロンド派の攻撃の的となった。国民公会はマラーの逮捕令状を採択 (93.4.6) したが,革命裁判所で無罪となり,ジロンド派は重大な打撃を受け,いまや国民公会はマラーが支配するところとなった。以後ジロンド派を容赦なく弾圧,ジロンド派の崩壊を告げる 93年6月2日の蜂起を組織したが,7月 13日入浴中にジロンド派を支持する C.コルデ暗殺された。

マラー
Muller, Hermann Joseph

[生]1890.12.21. ニューヨーク
[没]1967.4.5. インディアナポリス
放射線遺伝学を確立したアメリカの遺伝学者。コロンビア大学に学び,E.ウィルソンに師事。 1912年 T.モーガンの率いるショウジョウバエ研究グループに加わって遺伝学の研究を開始。 16年に遺伝子の交差に関する研究で学位取得。その後,ライス研究所所員,コロンビア大学講師を経て,テキサス大学教授 (1920~32) 。 27年にはX線照射によって人為的に突然変異を起させることに成功。これは遺伝学,育種学のその後の歩みに決定的な影響を及ぼすものであった。 31年,アメリカ科学アカデミー会員に選ばれる。神経衰弱の治療も兼ねてカイザー・ウィルヘルム研究所に移り (32) ,遺伝子の生物物理学研究に先鞭をつける。 33年 N.バビロフのはからいでソ連に行き,遺伝学研究所の所員となるが,T.ルイセンコ一派の台頭によってソ連の遺伝学界が制圧されるに及び,37年イギリスに渡り,エディンバラの動物遺伝学研究所所員としてイギリスの遺伝学の発達に大きな影響を与えた。 40年帰国,アムヘルスト大学を経て,45年よりインディアナ大学教授。 46年,突然変異を誘起した研究によって,ノーベル生理学・医学賞を受賞。この頃より盛んに社会的発言を行い,人類の進化のために精子銀行の設立を提案して反響を呼んだ。人類の進化に関する彼の議論は『人類の遺伝子の将来』 What genetic course will man steer? (67) にまとめられている。彼はまた,核兵器の開発が始ったばかりの頃,放射線による突然変異の危険性をいちはやく指摘し,警告を発した。

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デジタル大辞泉の解説

マラー(Hevmann Joseph Muller)

[1890~1967]米国の遺伝学者。ショウジョウバエを材料に遺伝子の交叉現象を研究。また、X線による人工突然変異の誘発に成功。1946年ノーベル生理学医学賞受賞。

マラー(Jean-Paul Marat)

[1743~1793]フランスの革命家フランス革命にあたって「人民の友」紙を発刊し、民衆の運動を賞賛。国民公会議員に選出後は、山岳派の指導者として活躍。ジロンド派没落後、支持者の女性に刺殺された。

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百科事典マイペディアの解説

マラー

米国の遺伝学者。テキサス大学教授の後モスクワ遺伝学研究所員となったが,1937年ルイセンコと論争してソ連を去る。1945年以降インディアナ大学教授。T.H.モーガン高弟として知られ,ショウジョウバエ遺伝学を確立。

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世界大百科事典 第2版の解説

マラー【Hermann Joseph Muller】

1890‐1967
アメリカの遺伝学者。ニューヨーク生れ。コロンビア大学に学ぶ。T.H.モーガンに師事し,ショウジョウバエ遺伝学を研究。1918‐20年同大学講師,20‐36年テキサス大学で準教授,教授を歴任。ついでレニングラード,モスクワへ赴く。ここでT.D.ルイセンコと論争し,イギリスに渡り,37‐40年エジンバラ大学に勤務。45‐64年インディアナ大学教授。モーガン学派の一員としてショウジョウバエを材料にしてメンデリズムの確立に貢献するが,とくにX線を用いての人工突然変異誘出の研究(1927)は高く評価され,1946年ノーベル生理学・医学賞受賞。

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大辞林 第三版の解説

マラー【Jean Paul Marat】

1743~1793) フランスの政治家。フランス革命開始時に新聞を発刊し民衆の政治参加を鼓吹。国民公会議員に当選、ジャコバン派を指導しジロンド派追放を実現したが、暗殺された。

マラー【Hermann Joseph Muller】

1890~1967) アメリカの遺伝学者。放射性遺伝学の分野を開拓。ショウジョウバエに X 線を照射して人為的突然変異の誘発に成功。

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世界大百科事典内のマラーの言及

【遺伝学】より

…現在,この分野では種々の遺伝学的現象を細胞学的現象に関連・対応づけるため,核や細胞小器官(オルガネラ)自体およびそれらに含まれる染色体やDNA分子の構造・複製・伝達・化学的組成などを光学・紫外線・蛍光あるいは電子顕微鏡を用いて研究している。
[突然変異遺伝学mutation genetics]
 1920年代の半ばに入り,H.J.マラー(1927)はショウジョウバエ,スタッドラーL.J.Stadler(1928)はトウモロコシにX線照射を行い,遺伝子の突然変異が人為的に誘発できることを証明した。ここに,遺伝子の変異性を実験的に研究することが可能となり,突然変異遺伝学とよぶ新しい分野が開けた。…

【突然変異】より

…今では,ド・フリースが観察したのは染色体内組換えおよびゲノム突然変異であって,真の突然変異ではなかったと考えられている。厳密な意味での遺伝子突然変異を最初に観察したのは1929年のことで,トウモロコシを使ったスタッドラーL.J.Stadlerとショウジョウバエを使ったH.J.マラーである。遺伝子突然変異はきわめて低い頻度(10-6~10-9)で起こるのが普通であるが,電離放射線や種々の化学物質によって高頻度に誘発されることがわかるとともに,これらの突然変異原は突然変異の出現機構の解明の研究に活用されるようになっただけでなく,得られた突然変異株を利用することによって,遺伝学が急速に発展することになった。…

※「マラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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