マラー(英語表記)Hermann Joseph Muller

デジタル大辞泉 「マラー」の意味・読み・例文・類語

マラー(Hevmann Joseph Muller)

[1890~1967]米国の遺伝学者。ショウジョウバエ材料遺伝子交叉現象を研究。また、X線による人工突然変異誘発成功。1946年ノーベル生理学医学賞受賞。

マラー(Jean-Paul Marat)

[1743~1793]フランス革命家フランス革命にあたって「人民の友」紙を発刊し、民衆の運動を賞賛国民公会議員に選出後は、山岳派指導者として活躍。ジロンド派没落後、支持者女性に刺殺された。

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精選版 日本国語大辞典 「マラー」の意味・読み・例文・類語

マラー

  1. [ 一 ] ( Jean Paul Marat ジャン=ポール━ ) フランスの革命家。一七八九年「人民の友」紙を発刊して民衆運動に刺激を与え、国民公会議員に選出された後は山岳派に参加。ジロンド派を議会から排除し、そのためにジロンド派の女性に入浴中刺殺された。(一七四三‐九三
  2. [ 二 ] ( Hermann Joseph Muller ハーマン=ジョセフ━ ) アメリカの遺伝学者。遺伝子の理論および突然変異の研究を行なう。一九四六年X線による人工突然変異の研究でノーベル生理学・医学賞受賞。(一八九〇‐一九六七

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改訂新版 世界大百科事典 「マラー」の意味・わかりやすい解説

マラー
Hermann Joseph Muller
生没年:1890-1967

アメリカの遺伝学者。ニューヨーク生れ。コロンビア大学に学ぶ。T.H.モーガンに師事し,ショウジョウバエ遺伝学を研究。1918-20年同大学講師,20-36年テキサス大学で準教授,教授を歴任。ついでレニングラードモスクワへ赴く。ここでT.D.ルイセンコと論争し,イギリスに渡り,37-40年エジンバラ大学に勤務。45-64年インディアナ大学教授。モーガン学派の一員としてショウジョウバエを材料にしてメンデリズム確立に貢献するが,とくにX線を用いての人工突然変異誘出の研究(1927)は高く評価され,1946年ノーベル生理学・医学賞受賞。のち,人類の遺伝に関心を示し,その人工的改良方法について提言して,今日話題になっているノーベル賞受賞者の精子を用いた人工受精法などの先駆的提唱者となった。
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百科事典マイペディア 「マラー」の意味・わかりやすい解説

マラー

米国の遺伝学者。テキサス大学教授の後モスクワ遺伝学研究所員となったが,1937年ルイセンコと論争してソ連を去る。1945年以降インディアナ大学教授。T.H.モーガン高弟として知られ,ショウジョウバエ遺伝学を確立。特にX線を照射して人為突然変異誘発に成功した業績は顕著。1946年ノーベル生理医学賞。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マラー」の解説

マラー
Jean-Paul Marat

1743~93

フランス革命期の革命家。元来は医者であるが,革命勃発とともに新聞『人民の友』を発刊してパリ民衆の間に影響力を持つ。国民公会議員に選出され山岳派の領袖となるが,入浴中コルデに刺殺される。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マラー」の解説

マラー
Jean Paul Marat

1743〜93
フランス革命時代の政治家・民衆指導者
革命の勃発とともに「人民の友」紙を発行し,下層市民(サンキュロット)の立場を代表して人気を得た。ダントン・ロベスピエールとともにジャコバン派を指導。国民公会で国王裁判・ジロンド派攻撃の先頭に立った。ジロンド派の追放後,女性シャルロット=コルデーに入浴中暗殺された。

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世界大百科事典(旧版)内のマラーの言及

【遺伝学】より

…現在,この分野では種々の遺伝学的現象を細胞学的現象に関連・対応づけるため,核や細胞小器官(オルガネラ)自体およびそれらに含まれる染色体やDNA分子の構造・複製・伝達・化学的組成などを光学・紫外線・蛍光あるいは電子顕微鏡を用いて研究している。
[突然変異遺伝学mutation genetics]
 1920年代の半ばに入り,H.J.マラー(1927)はショウジョウバエ,スタッドラーL.J.Stadler(1928)はトウモロコシにX線照射を行い,遺伝子の突然変異が人為的に誘発できることを証明した。ここに,遺伝子の変異性を実験的に研究することが可能となり,突然変異遺伝学とよぶ新しい分野が開けた。…

【突然変異】より

…今では,ド・フリースが観察したのは染色体内組換えおよびゲノム突然変異であって,真の突然変異ではなかったと考えられている。厳密な意味での遺伝子突然変異を最初に観察したのは1929年のことで,トウモロコシを使ったスタッドラーL.J.Stadlerとショウジョウバエを使ったH.J.マラーである。遺伝子突然変異はきわめて低い頻度(10-6~10-9)で起こるのが普通であるが,電離放射線や種々の化学物質によって高頻度に誘発されることがわかるとともに,これらの突然変異原は突然変異の出現機構の解明の研究に活用されるようになっただけでなく,得られた突然変異株を利用することによって,遺伝学が急速に発展することになった。…

※「マラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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