土壌被覆のこと。畑などの地面を被覆して、土壌の乾燥や侵食を防ぎ、雑草の発生を防ぎ、地温の調節、土壌伝染病の防御などを目的とする。もともと乾燥農法dry farmingでは、土の表面を浅く中耕して土壌毛細管を断ち、地表蒸散を防ぐことが行われ、これを土壌マルチングという。しかし日本など非乾燥地の普通の農法では、資材による土壌被覆が行われる。
マルチングの材料には稲藁(わら)や麦藁、干し草などが多く用いられるが、現在ではビニル、ポリエチレンなどプラスチックフィルムが普及している。これらフィルムには黒色や青色などに着色し、透過する光量や熱線を調節し、地温を目的に応じて変えたり、雑草の発芽を抑制したりする効果ももたせている。また石油系樹脂液を散布して地表に被膜をつくるマルチングも実用化されている。
マルチングは野菜園芸に広く使われるが、果樹園にも用いられ、リンゴの木の下に銀色のフィルムを敷いて、反射光によるリンゴの着色を進めるなど特殊な効果を図るものもある。またラッカセイやタバコ、早出し枝豆など畑作物にも、幼植物期の生育促進を目的にマルチングが普及している。
[星川清親]
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…農作物の栽培にあたって,耕地の土壌の表面を被覆する資材のこと。またこのような被覆を行うことをマルチングmulchingといい,土壌浸食の防止,土壌水分の保持,地温の調節,雑草の抑制,土壌伝染性の病菌や泥はねからの汚染防止などを目的とする。被覆資材としては,古くから稲わら,麦わら,刈り取った牧草や野草,堆肥あるいは前作物の残渣(ざんさ)などが用いられ,敷草あるいは敷わらと呼ばれてきたが,近年はポリエチレンや塩化ビニルフィルムの利用が急速に増加している。…
※「マルチング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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