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マンガン団塊 マンガンだんかいmanganese nodule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マンガン団塊
マンガンだんかい
manganese nodule

海底にある,マンガンを主成分とする扁平ないし球形状の黒褐色団塊底にマンガン団塊があることは,『チャレンジャー』号の深海探検以来知られていたが,その後の調査でかなり詳細な位置,分布状態,品質などが明らかにされ,有望な鉱物資源として世界の注目を浴びている。特に太平洋のものが良質とされ,日本でも 1970年9月,社団法人資源協会が調査船を出し,ハワイ沖および南太平洋タヒチ沖で約 2tのマンガン団塊サンプルを採取した。南西太平洋だけでも1兆tに及ぶ量が見込まれ,海洋資源のホープの一つである。

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知恵蔵の解説

マンガン団塊

水深数百〜数千mの海底表面に産出する、マンガン、鉄を主成分とした重金属水酸化物の塊。直径は数cm〜数十cmと様々。重金属含有量は海域と存在状況で異なり、マンガンに富むものと、ほとんど鉄からなるものに大別される。資源として注目されるのは前者で、マンガン23.8%、鉄6.2%、ニッケル1.22%、銅1.13%、コバルト0.23%、亜鉛0.10%が、試料から得られた構成比の例。ハワイの東南、水深5500mの赤色粘土質の海底は、マンガン団塊が密集し、マンガン銀座とも呼ばれる。中部太平洋にある古い海山の斜面(水深800〜2400m)に付着したものはコバルトを1%以上も含み、コバルト・リッチ・クラストとして注目されている。

(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

マンガン団塊【マンガンだんかい】

マンガン酸化物,鉄水酸化物を主とする,球状,円盤状,板状,ブドウ房状などの形の深海底沈殿物。マンガン,鉄,コバルト,銅などを含むので多金属団塊とも呼ばれる。大洋の2000〜6000mの海底,とくに中部・東部太平洋低緯度帯の海底に最も多い。
→関連項目海洋開発コバルト・リッチ・クラスト団塊マンガン

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岩石学辞典の解説

マンガン団塊

海底に産するマンガン団塊および結核の記述に用いられる語[Murray & Renard : 1891].pelagicは遠洋性の意味.

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世界大百科事典 第2版の解説

マンガンだんかい【マンガン団塊 manganese nodule】

湖や海の堆積物の上に半埋没あるいは堆積物中に浅く埋没して存在するマンガンMnと鉄Feの酸化物を主とする黒色の塊をマンガン団塊(マンガンノジュール。以下団塊と略す)といい,大部分は水深4000~6000mの海底にある。イギリスのチャレンジャー6世号の世界周航探検の途上で,1874年に得られたのをはじめとして世界各地の深海底から多くの団塊が発見され,91年に詳細に報告された。団塊に含まれるマンガン,ニッケルNi,銅Cu,コバルトCoは需要の急激に増加している希少金属であり,たとえばコバルトなどはジェットエンジンの製造に必要な戦略物資であるにもかかわらず,主要先進国の大半は,そのほとんどを輸入に頼っていることから,団塊の鉱物資源的重要性が強調され,1973年までに団塊の世界的分布,特徴などがほぼ判明した。

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大辞林 第三版の解説

マンガンだんかい【マンガン団塊】

マンガン・鉄・ニッケル・銅・コバルトなどを含む黒褐色の団塊。直径1~15センチメートル。4000メートル を超える深海底に広く分布。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マンガン団塊
まんがんだんかい
manganese nodule

世界の4000~5000メートルの深海底に普遍的に分布しているマンガンを主成分とする黒褐色の塊。球状ないし楕円(だえん)体状で、直径は数センチメートルから十数センチメートルのものが多い。分布は太平洋に多く、大西洋やインド洋、大陸の近くに少ない。成分は場所などにより一定ではないが、マンガン15~30%、鉄15%、ニッケル0.1~0.5%、コバルト0.3~1.0%、銅0.1~0.4%である。その成因および海洋による分布の相違の原因などについては、まだよくわかっていない。
 深海底のマンガン団塊は、19世紀にイギリスのチャレンジャー号の世界周航海洋大探検の際に発見採取されている。しかし、1960年代からは海洋地球物理学という面と、海洋資源開発という実用的見地から、各国が調査・研究と、実用的な採取法の開発にしのぎを削っている。マンガン団塊を含む深海底の鉱物資源開発については先進国と発展途上国の間でも対立があり、長い間国連の海洋法国際会議で議論されてきた。その第三次会議は1973年の第1会期から82年の第11会期までのマラソン交渉で、国連海洋法条約の草案を採決した。日本は83年(昭和58)に同条約に署名し、「深海底鉱業暫定措置法」を定め、施行している。また、85年から五か年計画で、第二白嶺(はくれい)丸を使用し、南太平洋のマンガン団塊、熱水鉱床、コバルトクラストの調査を行っている。[半澤正男]

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世界大百科事典内のマンガン団塊の言及

【インド洋】より


[海底資源]
 紅海中央部では1960年代に重金属を大量に含む泥が発見され,亜鉛,銅,銀に富んだ熱水鉱床として注目されている。マンガン団塊はインド洋全体に広く分布し,その中央部や西オーストラリア海盆中央部にかなり濃集しているが,本格的採鉱はまだ予定されていない。リン鉱床はアフリカ南端沖以外は望みが薄い。…

【海洋開発】より

…このIOCに対する科学分野の諮問機関としてSCOR(Scientific Committee on Oceanic Research)がIOC設立当初から協力しているが,工学分野の諮問機関として72年にECOR(Engineering Committee on Oceanic Resources)が組織された。 1967年,マルタの国連大使パルドArvid Pardoが当時注目されはじめていた海底のマンガン団塊を指して,一部の先進国によってこの種の資源開発が独占されることを憂い,〈深海底とその資源はすべての人類にとって共有の遺産と考えるべきである〉旨の演説を国連で行い,70年にはこの主旨が国連の決議として採択されるに至った。これらを受けて海洋をめぐる国際法を見直す気運が生じ,73年には領海,大陸棚,経済水域,深海底資源などについて新しい海洋の秩序の樹立を目指して第3次の国連海洋法会議(UNCLOS,United Nations Conference on the Law of the Sea)が開かれ,長期にわたる討議が始まった。…

【深海底】より

…沿岸国の管轄権の下にある大陸棚より外側の海底区域(海底とその地下)。この深海底区域には,マンガン,ニッケル,コバルトなどの非鉄金属を多量に含むマンガン団塊が豊富に存在しており,最近の採取技術の進歩により,その開発が可能な段階に到達している。これまでの公海自由の原則によれば,公海である深海底の鉱物資源の開発・管理はどの国でも自由に行うことができた。…

【大西洋】より

海底堆積物
[海底資源]
 石油・ガス田は,生物遺骸を多く含む厚い堆積層の発達を必要とするため,現在は北海,メキシコ湾北岸沖,南アメリカ北岸沖(特にオリノコ川沖),コンゴ川沖よりニジェール川沖にかけてのアフリカ西岸沖などで,開発・採取されている。海底マンガン鉱床は,マンガン団塊が海底面上で海水に長期間さらされて生成されるため,全般的に堆積速度の速い大西洋では,太平洋ほど豊富ではない。バルト海,ブレーク海台からフロリダ半島沖にかけての北アメリカ東岸沖,南大西洋ではリオ・グランデ海台からウォルビス海嶺にかけて,またスコシア海周辺に,まとまった分布が認められている。…

【太平洋】より

…こうした現世堆積物の分布パターンの詳細は,堆積物柱状サンプルでも認められ,地質時代をさかのぼって,海底拡大に伴い古海洋学環境がいかに変わってきたかを知るのに役立っている。海底堆積物
[海底資源]
 海底に長くさらされ平均10万年に厚さ1mmの速度で被覆成長するマンガン団塊は,ニッケル,コバルトを含む有用な金属資源であるが,太平洋,特に北太平洋の海嶺上に広く分布する。海底表面のみで,大西洋,インド洋における合計に匹敵する1000億tの団塊があるとの試算され,世界各国によって積極的に調査されている。…

※「マンガン団塊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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