ミミズク(読み)みみずく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク(昆虫)
みみずく / 耳蝉

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目ヨコバイ科Cicadellidaeミミズク亜科Ledrinaeに属する昆虫の総称、またはそのなかの1種。中形から大形で、体長5~20ミリメートル。体は暗褐色、とくに黄緑色で点刻があり、頭部前方は扁平(へんぺい)となり、葉状を呈す。単眼は頭頂上に2個ある。前翅は堅く、脈や翅室には点刻がある。枝上または葉上に体を密着させて止まる。世界で約300種が知られ、熱帯から温帯地方に広く分布するが、オーストラリア・マレー地区にとくに多い。

 ミミズクLedra audituraは、体長が雄で約14ミリメートル、雌で約18ミリメートル。体は暗褐色ないし黒褐色で、前胸背には1対の大きな耳状突起があり、その形や大きさには変異がある。種々の樹木にすみ、とくにブナ科やバラ科の樹木を好む。越冬態は卵のことが多いが、不定。本州以南の各地に分布する。

 日本にはほかに数種が知られる。コミミズクLedropsis discolorは、体が棒状で、前胸背上の突起がない。アラカシなどのブナ科樹木にすみ、おもに4齢幼虫で越冬する。近縁のホシコミミズクL. wakabaeは、翅上に1対の小瘤(しょうりゅう)があることで区別される。西日本から琉球(りゅうきゅう)列島に分布する。また、ヒラタミミズクTituria angulataは、10~20ミリメートルの大形種で、体は全体黄緑色。前胸背側方は扁平で角張る。常緑樹の葉上にすむ。幼虫は広卵形で極端に扁平。九州琉球列島に分布する。

[林 正美]



ミミズク(鳥)
みみずく / 木菟

鳥綱フクロウ目に属する鳥のうち、外耳のようにみえる冠羽(羽角)をもつ種をいい、とくにオオコノハズクをさすことが多い。これに対して、羽角のない種をフクロウということが多いが、羽角の有無は分類学上は意味がなく、羽角をもつシマフクロウのような例外もある。

竹下信雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク
Ledra auditura

半翅目ミミズク科の昆虫。名は鳥類のミミズクに由来し,栗本丹洲(1756-1834)の《干蟲譜》に初めて見えるので,おそらく彼の命名であろう。胸部背方にある1対の突起が葉状に張り出して,ミミズクの耳羽に似ており,この耳状突起は雄よりも雌のほうが大きい。体長14~18mmで,頭部は前方で葉片化する。体色は黄褐色に濃色部を混じえ,樹幹部に静止するときには目だたない。生活史の詳細は明らかでないが,おおよそ夏から秋にかけて,樹幹部に産卵管で裂け目をつくり,植物組織中に産卵。越冬した卵は5~6月に孵化(ふか)し,新成虫は8月に出現する。クヌギコナラ,シイ,エゴノキなど広葉樹上で生活する。日本では本州以南,国外では台湾,韓国,中国にも分布する。ミミズク科Ledridaeにはほかに日本から,コミミズク,ホシコミミズク,ヒラタミミズクの3種が知られている。すべて幼虫は扁平な体型をしている。
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ミミズク (木菟)

フクロウ目の鳥のうち,一般に羽角(外耳状の羽冠)のあるものをミミズクと呼び,羽角のないフクロウと区別する。しかし,この区別は分類学的な根拠のあるものではなく,またアオバズクのように羽角がないのにズクの名をもつものや,反対に羽角があるのにフクロウの名があるシマフクロウのような例もある。日本産のフクロウ目の鳥でミミズクまたはズクの名のつくものは,ワシミミズク,トラフズク,コミミズク,コノハズク,オオコノハズク,アオバズクの6種である。
フクロウ
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百科事典マイペディア 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク(鳥類)【ミミズク】

フクロウ科の鳥のうち,耳介のように見える羽をもつ種類の俗称。ワシミミズクシマフクロウオオコノハズクコノハズクトラフズクなどが含まれる。

ミミズク(昆虫)【ミミズク】

半翅(はんし)目ヨコバイ科ミミズク亜科の昆虫の1種。北海道を除く日本各地,朝鮮,中国大陸,台湾に分布。体長16mm内外,体は暗褐色,翅も暗褐色で半透明,暗色の斑点がある。胸背に大きな1対の耳状の突起があり,ミミズクの名はこれに由来。成虫は夏〜秋に発生し,各種の広葉樹の汁を吸う。成虫で越冬。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク
Ledra auditura

半翅目同翅亜目ヨコバイ科ミミズク亜科。体長 (翅端まで) は雄 14mm,雌 18mm内外。全体は暗褐色ないし赤褐色で,樹皮に似る。頭部は扁平で幅広く,前方に突出する。複眼は後側方にあり,小さいが突出する。前胸背は大きく,その後部に1対の耳状突起があり,雄では小さく上方に突出するが,雌では大きく前上方に向くことがある。小楯板 (しょうじゅんばん) は平たく,翅鞘は半透明。後肢脛節は扁平で外縁に鋸歯がある。クヌギ,ナラなどにつくが,その数は多くない。本州,四国,九州,琉球列島,朝鮮,台湾,中国に分布する。コミミズク Ledropsis discolorは小型で細長く,前胸背上に耳状突起はない。 (→ヨコバイ )

ミミズク
owls

フクロウ目フクロウ科のなかの,頭部に羽角(耳羽ともいう,耳介のように見える突き出た羽毛)をもつ種の総称。羽角は聴覚とはまったく関係ない。一般に「…ズク」というが,「…フクロウ」と呼ぶ鳥と明確に区別されているわけではない。シマフクロウのように「…フクロウ」と名のつくものでも羽角があるものや,アオバズクのように「…ズク」と名のつくものでも羽角がないものもある。(→猛禽類

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ミミズク」の解説

ミミズク
学名:Ledra auditura

種名 / ミミズク
解説 / クヌギなどに寄生します。前胸に耳状の突起があり、メスでは前上方につき出ています。
目名科名 / カメムシ目|ミミズク科
体の大きさ / (全長)♂14mm前後、♀18mm前後
分布 / 本州、四国、九州、南西諸島

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