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メカス

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百科事典マイペディアの解説

メカス

映画作家。リトアニア生れ。1949年ニューヨークに渡る。いくつもの職を転々とした後,中古の16ミリ・カメラを手に入れ,映画の道に進む。《フィルムカルチャー》誌の創刊や執筆活動の他,1960年にはR.フランク,J.カサベテスらとニューアメリカンシネマグループを結成し,個人映画実験映画の上映・配給を手がけた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

メカス
めかす
Jonas Mekas
(1922― )

リトアニア出身で、アメリカ、ニューヨークを拠点に活動する映画作家、映画評論家。リトアニア北部ビルジャイ県セメニシュケイ村の農家に生まれる。1943年にビルジャイ市のギムナジウムを卒業。子どものころから文学に熱中し、地方新聞の編集にかかわったり、詩編を発表するなどしていたが、1942年から続くナチスによる祖国占領が、彼の将来に大きな影響を及ぼす結果となった。反ナチスの地下新聞の編集に携わったメカスと弟のアドルファスAdolfas Mekas(1925― )は、1944年、ナチスによる追及を逃れるべくリトアニア脱出を企てたが失敗、ドイツ強制収容所へ送られ、そこで第二次世界大戦終結を迎える。戦後、ドイツ国内の難民収容所を転々としていたが、ウィースバーデン収容所に落ち着き、マインツのヨハネス・グーテンベルク大学などで文学や哲学を学び、1948年に詩集『セメニシュケイの牧歌』Semeniskiu Idilesを刊行。故郷の小さな村への追憶を込めたこの詩集は、1955年にアメリカ・リトアニア作家協会が設けたビンツァス・クレベー賞を受賞。しかし、反スターリン的な立場を鮮明にしていたメカスにとって、戦後、ソビエト連邦の支配下にあった祖国への帰還は望むべくもなかった。
 翌1949年、国連が援助した船賃で、兄弟はアメリカ合衆国へ移住。ニューヨークに住居を定める。詩作は母国語以外では不可能との考えをもつメカスは、さまざまな仕事で生計を立てながら、言語以外の新たなコミュニケーション手段を求めて中古のボレックス(スイス製16ミリシネカメラ)を移住してすぐに購入、自身の身辺や日常的な情景を被写体とする「日記映画」を撮り始める。そうした彼独自の映画づくりの最初の集大成として、約25年ぶりに故郷に帰還し、母親ら家族との再会の模様などを撮影した代表作『リトアニアへの旅の追憶』(1972)があり、その後も『ロスト・ロスト・ロスト』(1976)、アンディ・ウォーホルやジョン・レノンとオノ・ヨーコの夫妻ら友人たちのリラックスした姿が収められた『時を数えて、砂漠に立つ』(1986)など、やはり「日記映画」の延長線上で何本もの長編作品をまとめあげ、個人映画作家としての地位を固めていった。
 そのほか、メカスの活動のなかで重要な比重を占めるものに、1960年代にウォーホルやフルクサスなどのアート・シーンでの革新的な動きとも共振しつつ実り豊かな成果を生み出した、アメリカのインディペンデント映画運動における優れたオルガナイザーとしての役割がある。1958年から開始され、後に著作『メカスの映画日記』Movie Journal(1972)にまとめられる『ビレッジ・ボイス』Village Voice誌でのコラムの執筆活動などを通して論陣を張るにとどまらず、1960年にニューヨークの映画作家らで組織された「ニュー・アメリカン・シネマ・グループ」にジョン・カサベテスや写真家ロバート・フランクらと参加。メカスがその際に執筆したマニフェストには、映画とは何よりも作家個人の表現としてあり、プロデューサーや配給者、検閲などの介入を拒絶すること、たとえ優れた作品でも上映機会の少ない低予算個人映画を配給するための独自のルートを開拓すること、といった理念や目的がうたわれた。その実践として、インディペンデントな映画作品の配給・上映を行う「フィルム・メーカーズ・コーポラティブ」を翌年に発足。さらに1970年には、ともすれば失われがちな個人映画のプリント保存や資料の蒐集を目的とする「アンソロジー・フィルム・アーカイブズ」を設立し、その活動の中心的役割を担っている。[北小路隆志]

資料 監督作品一覧

リトアニアへの旅の追憶 Reminiscences of a Journey to Lithuania(1972)
ロスト・ロスト・ロスト Lost, Lost, Lost(1976)
ライフ・オブ・ウォーホル Scenes from the Life of Andy Warhol(1982)
時を数えて、砂漠に立つ He Stands in a Desert Counting the Seconds of His Life(1986)
セレブレートシネマ101~「映画は百歳ではない」 Celebrate CINEMA 101(1996)
グリーンポイントからの手紙 A Letter from Greenpoint(2004)
メカス×ゲリン 往復書簡 Correspondencia Jonas Mekas - J.L. Guerin(2011)
3.11 A Sense of Home Films~「Mont Ventoux」 Mont Ventoux(2012)
『飯村昭子訳『メカスの映画日記――ニュー・アメリカン・シネマの起源 1959―1971』(1993・フィルムアート社) ▽村田郁夫訳『セメニシュケイの牧歌』(1996・書肆山田) ▽木下哲夫訳『フローズン・フィルム・フレームズ』(1997・河出書房新社)』

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