メガラ学派(読み)メガラガクハ

デジタル大辞泉 「メガラ学派」の意味・読み・例文・類語

メガラ‐がくは【メガラ学派】

小ソクラテス学派の一。メガラエウクレイデス創始者とする。ソクラテスエレア学派影響を受けて争論術にすぐれ、多くの弁証家・争論家を出した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「メガラ学派」の意味・読み・例文・類語

メガラ‐がくは【メガラ学派】

〘名〙 (Megarians, Megarian school の訳語) 小ソクラテス学派一派エレア学派の影響をも受けて論争にすぐれ、多くの詭弁を残している。ユークリッドに始まり、代表者エウブリデスクロノススティルポンなど。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「メガラ学派」の意味・わかりやすい解説

メガラ学派 (メガラがくは)

メガラのエウクレイデスによって創始されたギリシア哲学の一派。パルメニデス,エレアのゼノン,ソクラテスの影響を強く受け,一元論的,観想的哲学を展開した。数学を重んじ,弁証法,論理学発達に貢献した。特に弁論に長じていたので,この派の人々は〈弁証家〉〈争論家〉と呼ばれ,エウブリデスEuboulidēs,ディオドロス・クロノスDiodōros Kronos,スティルポンStilpōnといった哲学者の名が知られている。ストア学派はこの学派から理論的支柱を得ている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メガラ学派」の意味・わかりやすい解説

メガラ学派
めがらがくは
Megarian school

紀元前4世紀のギリシアの哲学の一派。小ソクラテス学派の一つ。メガラのエウクレイデスが開いた。彼はただ一つ善なるものが存在するという、エレア派的な説をなしたらしいが、同時に詭弁(きべん)的論駁(ろんばく)を得意とした。そのため別名を「争論派」ともよばれる。この派から、「嘘(うそ)つきのパラドックス」(エピメニデスの嘘)ほかの論理的難問を案出したエウブリデス、その弟子ディオドーロス・クロノス、この派の評判をもっとも高めたというスティルポンなどが出た。彼らはプラトンアリストテレスの哲学説に対して、さまざまな論理的批判を加えたらしい。またディオドーロスとスティルポンは、ストア学派の創立者のゼノンに問答法を教えた師として知られる。メガラ派の意義は、その論理がストア学派に継承され整備されて、新しい論理学を生み出した点にある。それは、述語(名辞)の関係を対象としたアリストテレスの論理学と異なり、命題と命題の関係を扱う命題論理学であった。

[田中享英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のメガラ学派の言及

【エウクレイデス[メガラの]】より

…ソクラテスの友人でメガラ学派を創立したギリシアの哲学者,数学者。《ストイケイア》の著者は同名であるが,別人。…

※「メガラ学派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android