メガラ(その他表記)Megara

デジタル大辞泉 「メガラ」の意味・読み・例文・類語

メガラ(Megara)

古代ギリシャ、メガリス地方の中心的都市国家交通の要衝コリント地峡に位置し、前8世紀にはシチリア・黒海沿岸などに植民市を作って繁栄したが、前7世紀以降、内紛によって衰退

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メガラ」の意味・わかりやすい解説

メガラ
Megara

コリント地峡にのぞむ古代ギリシアの都市。サロニカ湾岸に良港を備え,またペロポネソスと中部ギリシアの連絡地点としても重要性をもった。初期の住民はドーリス人の侵入 (前 1100頃~1000頃) によって滅ぼされ,前8世紀頃シチリア島の東岸,南西岸およびマルマラ海域などに植民した。植民市 (→アポイキア ) カルケドンビザンチオンは最も重要であり,さらに小アジアの北西岸,クリミアにも植民した。前7世紀中頃から隣国アテネと抗争し,サラミス島を失い,ペロポネソス戦争中アテネに占拠されたが,アクロポリスは陥落しなかった。前4世紀には繁栄を回復したが政治的には重要ではなかった。ソフィストエウクレイデスの生地で,彼の創建したメガラ派の哲学はストア哲学に影響を与えた。現在のメガラは古代都市のアクロポリスに使用された2つの丘陵の南斜面に位置している。人口2万 6562 (1991推計) 。

メガラ
Megara

ギリシア神話女性テーベクレオンの娘で,ヘラクレス最初の妻となり,子宝にも恵まれたが,ヘラの送った狂気に取りつかれたヘラクレスに,子供たちを皆殺しにされてしまった。一伝では彼女もこのとき,夫の手にかかって死んだが,生返り,12の功業を終えテーベに帰ったヘラクレスによって,甥イオラオスに妻として与えられたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メガラ」の意味・わかりやすい解説

メガラ(都市国家)
めがら
Megara

古代ギリシアのドーリス人のポリス(都市国家)。アテネとコリントの間にあった。紀元前10世紀なかばごろ、イオニア人にかわってドーリス人が支配者となり、前8世紀にポリスを形成したと思われる。前730~前550年にシチリア島や黒海方面にメガラ・ヒブライア、ビザンティオン(現イスタンブール)などの植民市を建設した。前7世紀後半にテアゲネスが僭主(せんしゅ)となり、前6世紀前半に激しい党争が続き、サラミス島をアテネに奪われ、同世紀末にペロポネソス同盟に加わった。ペロポネソス戦争ではスパルタ側につき、前4世紀に繁栄を回復したが、ヘレニズム時代以後ふたたびそれを失った。

 今日のメガラは人口1万7719(1981)。ブドウとオリーブ栽培の盛んなメガリス平野の中心都市である。

[清永昭次]


メガラ(ギリシア神話)
めがら
Megarā

ギリシア神話でヘラクレスの妻。オルコメノスのミニアイ人は、以前からテバイ(テーベ)に朝貢を強いていたが、ヘラクレスがミニアイ人を破ってこの義務からテバイを解放した。これに感謝して、テバイ王クレオンは娘のメガラを妻として彼に与える。メガラは、ヘラクレスとの間に何人かの子(その数は3人から8人までと一定しない)をもうけるが、彼らはヘラの送った狂気に突如取り憑(つ)かれたヘラクレスに殺される。このときにメガラも殺されたとする説と、生き延びて、ヘラクレスの甥(おい)イオラオスに再嫁させられたとする説がある。

[中務哲郎]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「メガラ」の解説

メガラ
Megara

古代ギリシアの陸上交通の要衝コリント地峡に位置するメガリス地方の中心市,および同名のポリス。前8世紀半ばに始まる植民運動に参加,シチリア,黒海入口に植民市を設けた。前7世紀後半僭主(せんしゅ)が現れ,のちサラミス島の領有をアテネと争って敗れ,ついに奪われた。

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世界大百科事典(旧版)内のメガラの言及

【ヘラクレス】より

…その後,アンフィトリュオンその他から武芸と音楽を習ってりっぱな若者に成長した彼は,テーバイ南方のキタイロン山にすむライオンを退治して最初の手柄をたて,以後,その皮をまとい,口を開いたライオンの頭を兜にした。次いで,テーバイが毎年貢納の義務を負わされていたオルコメノスの王を倒すと,その功によりテーバイ王クレオンKreōnから王女メガラMegaraを妻に与えられたが,数年後,ヘラによって気を狂わせられ,メガラとの間にもうけた子どもたちを殺してしまった。このため彼は生地を去り,隣国で罪を潔(きよ)めてもらったあと,デルフォイに赴きアポロンの神託をうかがった。…

※「メガラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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