メソアメリカ

百科事典マイペディア 「メソアメリカ」の意味・わかりやすい解説

メソアメリカ

中米における先スペイン時代の古代文明圏。メキシコ南半部,グアテマラベリーズエルサルバドル全域ホンジュラスニカラグアコスタリカの西側部分を範囲とする。前2000年ころから定住村落が形成されて土器製作も始まり,前1000年ころからピラミッド神殿球技,絵文字,365日の太陽暦,四大植物(トウモロコシ,豆,トウガラシ,カボチャ)を含む多種の植物栽培など共通の文化要素群が出現。〈石器時代の都市文明〉をつくったことは世界史のなかでは異例で,周辺地域,とりわけ南米アンデス地方(アンデス文明)との交流も確認されている。形成期または先古典期(前1200年―前100年)は,定住村落から公共建築をもつ都市への発展時代で,オルメカ文化が代表的。続く古典期(前100年―後1000年)は大都市が出現し最も繁栄した時代で,テオティワカン文化トルテカ文化マヤ文化が代表的。続く後古典期(1000年―1521年)はメキシコ北部からのチチメカ族の侵入による混乱と,その一族アステカ族によるメシカ文化が代表的である。16世紀前半,この地域はスペインによって征服され,メソアメリカの歴史・文化は大きく変容した。ただし,メソアメリカの文化は消滅したわけではなく,その伝統は今日にまで及んでいる。
→関連項目アドベアメリカ・インディアントルティリャピラミッド

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世界大百科事典 第2版 「メソアメリカ」の意味・わかりやすい解説

メソアメリカ【Mesoamerica】

アメリカ大陸における先スペイン時代の二大古代文明圏のうち,中米のそれをメソアメリカという。キルヒホフPaul Kirchhoff(1909‐72)によって1943年に提唱され一般化しつつある名称。地理的な範囲としては,メキシコの北部を除いた全域,グアテマラ,ベリーズ,エルサルバドルの全域,ホンジュラス,ニカラグア,コスタリカの西側部分を含む地域を指す。 この地域に人類最初足跡を残したのは,前2万年ころとされる。

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世界大百科事典内のメソアメリカの言及

【アメリカ】より

…南アメリカ大陸のアマゾン,オリノコ低地においては,それとは別系統のマニオク等の根菜栽培に基礎をおく熱帯焼畑農耕が発達した。農耕地帯の中で,メキシコおよびそれ以南の中央アメリカの一部を含むいわゆるメソアメリカと,中央アンデスにおいては,前1000年前後から大きな宗教文明が興り,大神殿を中心に多数の農村共同体が結合される大規模社会が出現した。メソアメリカ地域においては後1千年紀の間に,メキシコのテオティワカン,エル・タヒン,モンテ・アルバンおよびマヤの諸神殿のような祭祀センターが成立し,中央アンデスにおいても,ペルーのモチェ,ナスカ文化,ボリビアのティアワナコ文化などの文明が興った。…

【アメリカ・インディアン】より

…新大陸の多様な風土のもとで独自の文化発展をたどった。メソアメリカとアンデス地帯の原住民は,トウモロコシ,マメ類,カボチャ類を主体とする農耕体系の基盤の上に古代文明を築いていたが,それ以外の南・北両アメリカ各地の原住民は,農耕段階か採集狩猟段階にとどまっていた。
【起源と文化発展】
 インディアンの祖先がユーラシアから新大陸に渡来したのは上部洪積世後期のことである。…

【トウモロコシ(玉蜀黍)】より

…その起源については祖先種が未確定なので明らかではない。しかし,起源地は近縁野生種や原始的な品種の存在,品種の多様性などの点から,メソアメリカもしくはアンデス地域のいずれかであるとされる。考古学的に知られているトウモロコシに関する最も古い証拠は,メキシコで発掘された約7000年前のものと推定される,長さ約2.5cm,50~60粒の種子をつけた穂軸である。…

※「メソアメリカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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