改訂新版 世界大百科事典 「メボソムシクイ」の意味・わかりやすい解説
メボソムシクイ (目細虫喰)
Arctic warbler
Phylloscopus borealis
スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約13cm。背面はオリーブ褐色,下面は淡黄色で,淡黄色の眉斑がよく目だつ。翼には1本の白い翼帯がある。スカンジナビア北部からシベリアを経てアラスカ西海岸に至る地域で繁殖し,秋・冬季には東南アジア,マレー諸島,フィリピンなどへ渡る。日本には夏鳥として4,5月に渡来し,本州や四国のおもに亜高山帯の森林で繁殖する。渡りの季節には,平地の雑木林や市街地の植込みにも渡来する。さえずりはチョリチョリチョリで,これはゼニトリ(銭取り),ゼニトリとも聞こえる。樹上の枝葉の間を活発に動き回りながら昆虫をとって食べる。森林の地上や崖のくぼみに,コケを使って側面に入口のある球形の巣をつくる。1腹の卵数は4~5個,抱卵は雌だけが行い,育雛(いくすう)は雌雄で行う。ツツドリに托卵されることがある。秋の渡りの時期には,シジュウカラ類の群れに混じっていることがある。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報