コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ヤブコウジ

百科事典マイペディアの解説

ヤブコウジ

ヤブコウジ科の常緑小低木。日本全土,東アジア山地の林などにはえる。根茎が長く,茎は高さ20cm内外。葉は長楕円形で細鋸歯(きょし)があり,互生するが上部では接して輪生状となる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヤブコウジ
やぶこうじ / 藪柑子・紫金牛
[学]Ardisia japonica Blume

ヤブコウジ科の常緑小低木。高さ10~20センチメートル、地下茎を伸ばす。葉は輪生状に2、3段集まってつき、長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~13センチメートル、縁(へり)に細かい鋸歯(きょし)がある。7~8月、葉腋(ようえき)や鱗片葉(りんぺんよう)の腋に散形花序をつくり、白色花を2~5個、下向きに開く。花冠は深く5裂して径6~8ミリメートル、細点がある。雄しべは5本。果実は冬中、葉の下につき、球形で径約5ミリメートル、赤く熟す。やや乾いた丘陵地の林内に生え、北海道の奥尻(おくしり)島から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。庭木、鉢植えとし、園芸品種も多い。『万葉集』には山橘(やまたちばな)として5首が詠まれている。ヤブコウジ属はアジア、アメリカ、オーストラリアの暖帯から熱帯に約400種ある。[小林義雄]

文化史

冬に赤い実が映え、春日王(かすがのおおきみ)は「あしひきの山橘の色に出(い)でよ語(かた)らひ継(つ)ぎて逢ふこともあらむ」(巻4)と恋のシグナルに例えた。冬も枯れない葉と美しい赤い実は「卯杖(うづえ)の飾り」(『枕草子(まくらのそうし)』)、「髪そぎの時の山菅(やますげ)に添ふる」(『古今栄雅(えいが)抄』)、「祝儀(しゅうぎ)のかざり物」(『貞丈雑記(ていじょうざっき)』)などに古くは使われた。正月初卯(はつう)の日にウツギの枝をヒカゲノカズラで巻き、ヤブコウジを挿す行事は、京都の上賀茂(かみがも)神社の卯杖の神事に残る。かつて男子5歳、女子4歳になると、髪の先を肩あたりで切りそろえる髪削(かみそぎ)の儀式が行われ、ヤブコウジを髪に挿した。正月などに松竹梅と組み合わせてヤブコウジを飾る風習は江戸時代から記録に残る。明治中期には園芸品種が大流行し、投機の対象とされ、新潟県は県令で売買を禁じた。[湯浅浩史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ヤブコウジの関連キーワードヤブコウジ科ツルコウジマンリョウ赤玉の木伊豆千両地表植物大明橘社茎山代々橘藪柑子蔓柑子籔柑子三角柏笹竜胆蔓万両百両金金実橘紫金牛御門柏削げ木

今日のキーワード

隗より始めよ

《中国の戦国時代、郭隗(かくかい)が燕(えん)の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答えたという「戦国策」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ヤブコウジの関連情報