卯杖(読み)うづえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

卯杖
うづえ

新年に用いる邪気を払うための。梅,桃,ぼけなどの木でつくられ,いろいろな装飾が施されている。平安時代には正月初の日に,これを六衛府などから天皇,東宮に奉献する儀式があり,これを御帳の四隅に立てた。卯杖は漢の王莽の故事による剛卯杖の影響を受けており,また,年木粥杖などとの関連も考えられる。現在民間では用いられていないが,太宰府天満宮で正月7日の追儺祭 (ついなのまつり) にこれで鬼面を打ったり,和歌山県伊太祁曾神社で正月 14日夕方神前に卯杖を供えるなど,神事に用いる例は少くない。

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デジタル大辞泉の解説

う‐づえ〔‐づゑ〕【××杖】

正月初の卯の日に、魔よけの具として用いる杖。柊(ひいらぎ)などの木を5尺3寸(約1.6メートル)に切り、2、3本ずつ5色の糸で巻いたもの。昔、宮中では六衛府などから朝廷に奉った。 新年》「古猫の相伴にあふ―かな/許六

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百科事典マイペディアの解説

卯杖【うづえ】

平安時代,正月上卯の日に諸衛府(えふ)から宮中に献上した杖。ヒイラギ,ナツメ,梅,桃などで作り,邪気をはらうとされた。卯杖贈答の風は神社などの行事にもとり入れられ,伊勢神宮では内・外宮に奉納し,賀茂神社では社家の間に配り,和歌山市の伊太祁曾(いだきそ)神社では毎年正月15日に卯杖祭を行う。→卯槌(うづち)

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世界大百科事典 第2版の解説

うづえ【卯杖】

正月の初卯の日に邪気をはらう呪具として用いられた杖。民間で年占や豊饒(ほうじよう)多産の呪術に用いられた〈祝棒(いわいぼう)〉の習俗に,中国伝来の剛卯杖の影響が加わってできたものといわれている。《日本書紀》持統3年(689)の条に見える例が最も早く,平安時代には大舎人寮や六衛府から宮中に奉献され,また貴族や後宮の女房が贈答しあった。この風習は江戸時代まで賀茂神社などの社家の間で行われた。また参詣者にも分かつようになり,天満宮の初卯詣でには小型の卯杖が授けられた。

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大辞林 第三版の解説

うづえ【卯杖】

平安時代、正月上卯の日に地面をたたいて悪鬼を払った杖。梅・桃・椿などの木を五尺三寸(約1.6メートル)に切り、五色の糸を巻いて大学寮から宮中に献上した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

卯杖
うづえ

正月における朝廷の年中行事。正月の初卯の日に、六衛府(ろくえふ)および大学寮、大舎人(おおとねり)寮などから、5尺(約150センチメートル)ほどの杖を天皇、東宮に献上する儀礼。杖によって、邪気を祓(はら)うという意味があった。中国の漢朝に起源があり、桃の枝で剛卯杖をつくり鬼を祓ったという。日本では持統(じとう)天皇の3年(689)よりその存在が確認され、平安時代に盛行したようすは諸儀式書や文学作品にうかがえる。南北朝時代の『建武(けんむ)年中行事』に記載されているが、その後は中絶したようである。[酒井信彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

う‐づえ ‥づゑ【卯杖】

[1] 〘名〙 中古、正月初の卯の日に悪鬼を払う意味で地面をたたくために、大舎人寮(おおとねりりょう)、諸衛府から天皇、皇后、東宮などへ献上した杖。年木(としき)の信仰に中国の剛卯杖(ごううづえ)の風習が重なってできたものと思われる。梅、桃、柳その他諸種の木を長さ五尺三寸(約一・六メートル)に切り、一本ないし三本ずつに束ねて奉る。御杖(みづえ)。→卯槌(うづち)
※枕(10C終)八七「御文あけさせ給へれば、五寸ばかりなる卯槌ふたつを、うづゑのさまに頭などをつつみて」
[2] 俳句雑誌。秋声会の機関誌として明治三六年(一九〇三)創刊。牧野望東編集。同四二年「木太刀」と改題し、以後星野麦人が主宰。
[語誌]平安時代には宮中の行事が個々の貴族に広がったようで、互いに「卯杖」を贈り合っている。また、「枕草子」に見える「卯槌」は、用途は「卯杖」と同じだが、形態が「槌」になっている。この卯杖を贈る風習は、江戸時代まで賀茂神社の氏子の間で行なわれていた。→うづえほがい

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