ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤルゼルスキ」の意味・わかりやすい解説
ヤルゼルスキ
Jaruzelski, Wojciech Witold
[没]2014.5.25. ワルシャワ
ポーランドの軍人,政治家。閣僚会議議長(在任 1981~89),大統領(在任 1989~90)。第2次世界大戦勃発後,赤軍に捕えられてソビエト連邦に送られた。1943年ソ連で結成されたポーランド師団に加わる。ソ連の士官学校を卒業後,ワルシャワ解放に参加。戦後,ポーランドの高等歩兵学校,陸軍幹部アカデミーを卒業。軍中央政治委員会委員長,国防次官などを歴任。1968年国防大臣。1948年労働者党(共産党)に入党,1964年からポーランド統一労働者党中央委員,1971年同政治局員,1981年2月閣僚会議議長(首相)に就任。自主管理労組「連帯」の圧力の強まるなか,同 1981年10月第一書記を兼任した。秩序の回復,内戦回避を理由に同年 12月戒厳令を施行,「連帯」を非合法化した。1983年7月戒厳令を全面解除,11月国防相を辞任,国家防衛委員会議長に就任。1985年11月国家評議会議長に選出され,国家元首となった。その後,ソ連,東ヨーロッパの民主化運動の高まりをうけ,1989年2月6日から 4月5日まで開かれた,共産党,「連帯」,カトリック系知識人らによる円卓会議の合意によって復活した大統領職に,同 1989年7月に就任した。その後共産党一党独裁の平和的解体に尽力,「連帯」のレフ・ワレサが大統領に就任後の 1990年12月,政界から退いた。
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