ヤロード(英語表記)Ochrosia oppositifolia (Lamk.)K.Schum.

改訂新版 世界大百科事典 「ヤロード」の意味・わかりやすい解説

ヤロード
Ochrosia oppositifolia (Lamk.)K.Schum.

熱帯の海岸地域に生えるキョウチクトウ科の常緑高木で,高さ5~15mとなる。葉は下方のものは対生で上方のものは3~4個の輪生,倒卵形または倒卵状長楕円形,革質で,先端は急にとがり,基部は狭長,長さ14~36cm,毛がなく,中肋の多数の側脈平行に走る。頂生の集散花序は長さ8~10cm。花冠は高盆形で白色つぼみで長さ約1cm,裂片は開出し長楕円形,長さ7mmで先端は鈍頭。果実は核果で,単生またはまれに双生,卵円形で先端には短いくちばしを有し,長さ6cm,幅2~5cmぐらい,橙色で,中果皮は繊維質。日本(小笠原琉球八重山諸島),セイロンアンダマン諸島,マレーシア,ミクロネシアに分布する。乳液はボートの一時的な防水に使われる。葉はアルカロイドを含み,地方によっては根の煎汁を,有毒の魚やカニによる食中毒を防ぎ,腹痛をなおすのに用いる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤロード」の意味・わかりやすい解説

ヤロード
Ochrosia nakaiana

キョウチクトウ科の常緑高木で,小笠原諸島の各島に自生する。高さ数m,ときに 10mをこえる。幹は明るい灰白色で直立し,樹皮内側は黄色。この材を欧米系の島民が yellow woodと呼んだのがなまってヤロードの名になったといわれる。葉は厚く光沢があり,長さ 10~15cmで先端は丸く,中肋に対してほぼ直角に分岐する側脈が密に並んで特徴的である。葉,枝とも傷つけると白汁を分泌し,有毒である。夏,枝端に円錐花序をなして,黄白色,星形の小さな合弁花を多数つける。果実は2個の楕円体の分果が向き合ってつき,熟すと鮮かな黄色になる。

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